第74章 融和
差し出されるまま力を受け取った
一滴の血に混ぜ、アイズから血と共に力を貰って…
手筈通り行った……
もう残された力は無い、からっから―最初で最後のチャンス――
ナイフで縫い留められ心臓が止まったままのケイトに、
傷口に、血が落ちる
僕だけが、始祖神の力を、ケイトを連れ出しに行く
そうして――心臓へ
ケイト『いけないよ…』苦笑
フィン「!」
ケイト『…だって…まだ……
終わってないでしょ?』
フィン「何を言っている!!?」
リヴェリア「フィン?」
他には聞こえてないようだった…
涙を浮かべ無念そうに呟く声に…
生きることさえもいけないのなら、何故この世へ産まれさせたの…?
そんな念を端々から感じた
フィン「手を伸ばせ!!
まだ届くだろう!!?
諦めるな!!!」
今にも崩れ落ちそうな心に叫び掛けた
ケイト『もう…疲れたよ……
ベルを…助けたくない』
フィン「助けたいと望んだのは君だろう!!?」
ケイト『ベルは…あいつは…
フレイヤの恋心も弄んで、利用するだけ利用して、それさえも美化するだけなんだ
助けてくれた心に、想いに、恋に、元から応えるつもりもないのに
助けてくれた、処罰を受けるのも覚悟の上で命をかけた戦いに、危険に身を投じてくれた、命じてくれた
そんな言動に対してさ…あいつ何をしたと思う?
感謝も弁明も減刑を求めることさえも、なんにもしないんだ
向こうにだって都合がある、予定だってある、生活もかかってる、仕事だってある、休日の人だっている、それら全部撤回してまで助けに来てくれた奴等に対して、これだぜ…?←声震
フレイヤだって、助けたこと、助けた相手、それを話すことだって出来た、
でもそれは売るとしか受け取られないだろ?惚れた相手に不利益しかないだろ?
あいつは、それをしてくれた…その決断も、重んじる想いも、慮ってくれた心さえも、踏みにじって軽視するんだっ…』涙目
フィン「それは…(ぐっ!)
人の立場に立って考えないからだろう?
彼が、彼等彼女等が…
そういう集団なんだ
人からされれば許さないくせ、その実自分がしたことは全て許せと強要する
自分の『事情と理想』だけを押し付け!人のそれは全て無視して許さず悪とする!
そういうものだと知って!!それでも助けたいと想ったんじゃないのか?!!」