第74章 融和
シル「ウィーネちゃん…だったわよね?」
ウィーネ「?うん」
シル「ワザと、したくてしたんじゃないわよね?」
ウィーネ「…うん」
シル「なら…ちゃんと、それを伝えましょう?
そして…自分から謝って、なおす手助けをしましょう?
自分で壊したものは自分が直さないと。
暴れたくて暴れたんじゃないと、伝えられるのだから…ね?」
ウィーネ「うん!わかった!」ぱあっ!
叱られた訳ではない。
その言葉にウィーネは迷わず頷き、走り出していった。
ヘスティア・ファミリアを助けたい一心で、
ベルの決断を、皆の行動を曇らせたくない一心で…
それに同じく迷わず、ヘスティア・ファミリアは次々に椅子を蹴って立ち上がり走り出していった。
「注文は取り消しで!」と慌てたようにベルは一声かけ、
ヘスティア・ファミリアが全員居なくなった瞬間、歓声が沸きに沸き上がった。
『うおおおおおおおお!!!』
男性客「よく言ってくれたシルちゃん!!」
どっ!!と、ざわめきが、賑わいが帰ってきた
だが…
走り去るクラネルさん達を見送るシルの目は…
どこか、失望したような、真っ暗な沈んだ目で
声が聞こえた。
シル「ここまでかしら…」
それは淡々としていて…冷ややかで、底冷えした深海のような重さと冷たさを醸し出していた…
テロップ(実況はリューです、これはケイトが後でリューから聞いた話)
「祝いだ!!」
「全部食って飲んじまうぜ!!」
ミア「はっはっはっ!^^言うじゃないか!
なら特別にサービスだ…
二割引だよ!」
『うおおおおおおおお!!!』ジョッキ掲げる
アーニャ「母ちゃんにしちゃ破格の大サービスニャ!」あんぐり
ミア「食い尽くせるもんなら食い尽くしてみな!!」
『うおおおおおおおお!!!』
「やったらー!!」
どんちゃん騒ぎが更に加速したのは言うまでもない…
その中で、神妙な面持ちのままシルはリューに歩み寄った…
シル「リュー
ベルさんとは…
いいえ
クラネルさんとは、今後、関り合いにならない方がいい」
リュー「!な、何を?」
シル「リューは…使い潰されて、満足?」
リュー「え――?」
シル「ずっと…いいように使われて、何も返してはくれなくて
それが…ずっと、続いて欲しい?」
リュー「それ…は…」
それに…思わず声が詰まった。