第74章 融和
アーニャ「ひっ」
ルノア「?どうしたの?」
アーニャ「真っ黒だニャ」がたがた真っ青
ルノア「?どこが?」
ベル・クラネルを見ながら、ヘスティア・ファミリアを真っ直ぐ見やりながら、
真っ青になって震えながら後退るアーニャに対し、
一度見やってからアーニャへ向き直り、尋ね返すルノア。
アーニャ「怨念塗れ…あんなの、人間じゃないニャ!)←真っ青がくぶる
皿を洗うニャ!」だっ!!←走り出す
ルノア「瞠目)え!?;
珍しいね…
いつもは厨房なんて激務だから嫌がるのに」
厨房に引っ込むアーニャに、ルノアは思わずそう呟く。
全く態度や顔色を変えず、笑って注文を取りに行くクロエとは対照的に
リューは複雑な心境で、何とも言えない曇った表情で、
黙ったままクロエの向こう側にいるヘスティア・ファミリア、
正確に言えば、ベル・クラネルを見ていた。
周囲の客は黙ったまま固唾を飲んで、どんちゃん騒ぎをやめて水を打ったように静まっていた。
険吞とした空気と静けさが辺りを包み込む。視線が棘となって、それとなく見つめる。
その視線、意識の先は、ヘスティア・ファミリア…
それから…意を決したかのように
おもむろに、真剣な表情で俯き、だんまりを続けていたリューが動き出した…
リュー「クラネルさん…
あなたが守ろうとしたことは、確かに間違いではない。
ですが…
『したことで発生した責任問題』に対して、何もしないのは…
本当に、英雄的行動と言えるでしょうか?
責を負わない行為まで…あなたは、英雄と美化できますか?」
そう問い質すリューの言葉に、
次々に黙って頷く周囲から、更に深く険吞とした空気が醸し出され、酒場を包み込む。
ベル「それ…は…」
針の筵のような空気に、まるで被害者のように身をすくめて、俯き、だんまりを決め込むベル…
それにつられ
まるで…悪いことをされたかのように、悪かのように、敵かのように、
ヘスティア・ファミリアは、言及しただけのリューを睨視した。
その在り様に、リューはヘスティア・ファミリアを睨視する。
ベル・クラネルも含めて…真っ直ぐに見据える…
互いを睨視し合う、一触即発とも言える空気の真っ只中で、シルが乱入した。
ちなみにアーニャは厨房の隅で頭を抱えて震え、怯え切っており
ミアは口を噤んで黙って見守っていた…