第74章 融和
ケイトの英雄譚の一説で、有名な一文がある
『実害を与える相手も見極めない、選ばないのならば――それはただの『殺戮者』だ
力を振るうからには、見極めなければならない
人の命は、繋がっている
世界へ繋がっている
一つを蔑ろにすることは、全を蔑ろにすることと等価値である
見極め、学習し、繋げ、少しでも多くの幸せへ繋げなければならない
他者の日常を奪うことを、決して正当化してはならない
たとえ如何なる理由があろうと、その理由を正当化する為の免罪符にしてはならない
その時点で、その言動は穢れてしまう
努々忘れるな
大いに悩め、悔いろ、恥じよ
先祖、子孫――どちらにも顔向けできる人物たれ』
それは…暴動を起こした女ギルド職員の心に、深く刻まれていたという
「何で…どうして――!!
あなたが悪いもののように言われなければならないのですか!!?
どうして――先の幸せを考えられるあなたが悪で、目先の幸せしか考えない彼が善とされなければならないのですか!!?
私は―到底、そうは思えません――っ!!!!」
そう咽び泣きながら私の胸元で叫び聞かれた時…
私は、何とも言えなかった…
ただ…そう思ってくれたことに、喜ばしさや嬉しさのようなものを感じ、感謝の言葉を述べた
ケイト「ありがとう…(微笑)
そう思ってくれる人がいることが、とても嬉しいし、
私にとっては、何よりの救いだよ」なで
「そういう、問題じゃ、ありませんっ」ひっく
責任感もない人間、後ろめたさも一切感じない英雄
それでは…真に世の為人の為にはならない、決して!
誰彼構わず迷惑や実害を振り撒くな
守る為なら、やった内容も、人も選ばない
本質さえよければ
「仕出かして振る撒いた実害の『後に取った言動』」まで、よいものとなる訳ではない
そう、頑なに矢継ぎ早に言う言葉に、ギルド職員は挙って頷き、
今回ばかりは看過できない、とばかりに、押し寄せていった
それを止めようとしていたはずなのだが…その決意に満ちた目に、止めることが出来なかった……
彼等彼女等が求めているのは…
ヘスティア・ファミリアに対する、然るべき処罰とペナルティ
今後の打開策も踏まえて、である
その後、テイマーに対しても、
「モンスターが暴走した際、自力で無力化できること」も条件に加えられるようになった