第73章 キルアの冒険
フィン「……
ずっと…振り回されてきたからね…
本来持つはずがなかった障害を、幼い頃からの日々により刻み込まれて、今も振り回され続けているから…
だからと言って、自分の不出来を人のせいにしない分、彼女らしいとも思うよ…」ふっ
キルア「ああ…」
フィン「……彼の一番の問題は…非道を強いている自覚が無いこと、かな」
キルア「まあ…な
っつーか…
いつ、どこで、振り回されるかわからねえ、実害が与えられるかもわかんねえ
そんな状況でも何でも思い通りに動くことを求められる…
やっぱ、奴隷みてーだな…世界そのものがあいつ一人のみにとって都合のいい」
フィン「つまり…『癌』とは、『世界の私物化』だろう…
ウラノスがギルドを私物化して、ヘスティア・ファミリアの『地上で起こした問題』への責任追及を、
異端児と人類との共存を叶えられるかもという希望、気に入ったからという理由だけで、なんの補填も無く黙らせ続けてきたように…
今も似た事態があって続いているからね…」肩すくめ
瞑目し、嘆くように呟いた…
自分の動きたいように動いて、責任を持たない
そんなものの言動が響くと思うか?
それで何かしら問題に発展したとして、その責を背負おうとも果たそうとも思わない人間が英雄なんてちゃんちゃらおかしい
勝手で無責任な、ただの夢見がちな子供だ
期待外れ、としか言いようがない…
ベル・クラネルに対する認識が過大評価だったことを、改めて認識せざるを得なかった
キルア「………とんだクズだな;
どんだけ人に尻拭いさせんだよ;」
フィン「取り締まる立場がこれでは支持率が低下するのも自明の理、当然だろう…
それも今日までだ…
自分の価値観は他人に押し付けても良い。
ただ、自分と他人の差(違い)を、害を与える為の口実にしてはいけない。
自分の理想や価値観の障害となるから排していい、尊重しなくていい理由にはならない。
それによって発生した災いに、責任を取らなくていい理由にも…
互いにとって相反するなら無理に関わらず、距離を置いて共存していけばいい。
人との共存ですらこれ(お粗末)なのに、異端児との共存が出来るとは僕は到底思えないね…(お手上げ嘆息)
違う価値観や理想に当たればそれだけでアウトだ。
共生でも英雄でもなく…一方的な蹂躙と何ら変わらない」
