第73章 キルアの冒険
ケイト「……なら…助けてくれ」
それへの回答は…とても、短かった。
ルアン「…?」顔を上げる
咽び泣き俯いていた顔が静かに上がった。
目を丸くし、真っ直ぐ正面にいるケイトの双眸を見た。
その手にあるはずのハンカチは、ポケットにしまっていた。
ケイト「私は…お前のような奴を、出したくない。
その為に、力を身に付けたんだ。
姉や、母のような、育ての父母や妹のような、
あんな死に様をするに値しない人達を…そう、させない為に…
あんな謂れが無くても、ああぶつけてこられる。
でも同類に成り下がったり、同じことしたりやり返そうともしない。
そんな…本当に優しい人間を、助けたい。
だから…空中都市コクーンを作った。
同じ人達を集めて国の形態を取った。
出来ることなら…お前のように、そう遭わざる人間を、皆助けたい。
その為に、必死に頑張って、考えたり、動いたり、ぶつけたり、色々してきた。
でも…完璧ではない。
価値観や基準は皆違う。だから…0には決してならない。
たとえ助けたとして…必ず抜け漏れは避けられない。
私は…それさえ0にしたいんだ。
その為になら、何でもするつもりだ。壊すとか傷付けるとか殺すとか以外なら…
でも…一人では限界がある。
守りたいのなら、守るしかない。
いつでも私自身、私を守れるとも限らない。
助けたいのなら、動くしかない。
生憎、私は…
私を守るのに、向いてない^^;」
『!』
フィン(知ってるよ)やれやれ嘆息&苦笑&瞑目
ケイト「……防衛隊は、国の守りの要だ。
私自身完璧じゃない。
お前の力が、必要なんだ。
私を…お前と同じ目に遭って苦しんできた人達(市民)を、守ってくれ」
ルアン「…
!」瞠目
意味が分かったようだ…
国の『最も重要な立場』だということ…
そこへ任せたいという旨、お前だから頼みたいという真意…
ケイト「空中都市を作ったばかりなのに、
作った私が神になった一人目だからか、神国とかまで言われてるけど…^^;
お前なら…三人目になれる。私が保証する。
なれよ…
私が冒険者をスカウトするのは、お前が最初で最後だ」微笑
ルアン「…
(ごしごしごしっ!)
任せろ!!^^」にっ!
ケイト「頼んだよ…相棒^^」にっ!
がっしりと、深く、握手は交わされた――