第73章 キルアの冒険
語るも涙…
聞いているだけで、その悲痛な声と想いだけで泣けてくるそれに…
周囲は挙って、貰い泣きしていた。
僕自身…涙が目に浮かんでいた。
すぐ隣のケイトはぼろ泣きだった。
鼻水まで流し、それをケイト自身ティッシュで拭って、
綺麗なハンカチをルアンに差し出すか差し出すまいか迷ってまでいた。
ルアン「そう…思って…
遠い田舎から、わざわざオラリオに出てきたんだ!
どこ行っても、門前払いだった…
そりゃそうだよなぁ…
ただでさえ奥まった田舎で、しかも、小人族なんだからよ…
雑用でも何でもするって頼み込んで、やっと入れたのがアポロン・ファミリアだった…
アポロン「ついて来いよ!このアポロンが命ずる!」
そこしかなかった…全て門前払いされた!
田舎もんだから!金がねえから!!小人族だから!!!
だから…オイラは、抜ける訳にはいかなかった。
オイラは…ヘスティア・ファミリアが嫌いだ!
ミアハ・ファミリアも嫌いだ!
お人好しに見せかけた偽善なんて要らねえ!
自己満足でやりたいようにやっておいて、人が困ってるのを見てから助けよう?
ふざけんな!!
罪滅ぼしも慰めも要らねえ!所詮全部自分の為じゃねえか!!
自分を悪者にしたくねえからやっただけだろ!!!
やる前から、やりゃそうなるってわかり切ってたことだろ!
勝手に実行した口で、勧誘してくんじゃねえよ加害者が!!
偽善者ぶんのも大概にしやがれ!
あんなファミリア滅べばいいんだ!!!
都合のいい言葉ばかり並べ立てやがって!!
どの口が言ってんだ!!
人がいいように見せかけておいて、その実不幸にしかしねえ!
自分にとって不都合な奴を滅ぼすこと以外なんにもやりゃしねえんだから!!!
だから…!!!
あんなとこ、入んな!!
あんな所にお前みたいな奴が入ったら!!
一生死ぬまでその後始末に追われて死んじまう!!!!
一生振り回されて終わっちまう!!!そんなのやなんだよ!!!!
母ちゃんと…同じ死に方すんなっっっ!!!!」涙号泣慟哭
涙をボロボロと流しながら…
懇願するように、耳朶を震わせる声は…
とても痛切で、あまりにも痛々しくて…傷の深さと重さを、容易く垣間見させた。
声だけで…どれほど、想いが深いか伝わってきた。
ルアンの母が、どれほど優しかったかも…