第73章 キルアの冒険
その声を…分裂体を介して、僕等原初の魂は聞いた。
わかっている…
あの、殺された時…←3520~3521ページ参照
ケイト「大好き^^」
最後に、小さく、手を振られた。
そんな声が、僕達の耳朶に響いた。
無論、沢田綱吉の耳にも…
殺せるように、ワザと自分を弱めて
彼の選択に、自分の今後を、命を、信じて、託した。
決め付け癖を、荒療治する為の、嘆願のようなもの…
色んな想いが沢山詰まってのものだということは…遺言状を読んで気付いた。
「拝啓、大事な人へ――
これを読んでるってことは、私は死んでしまったんだろう。
ごめん、悪いんだけれど、薄々殺されるのは勘づいてた。
でも…私は、あいつの師匠だから…
だから、信じてやりたかったんだ…
あいつを弟子として受け入れて、大切な人を守る為に力を使えると信じたから…
もう、決め付けや、一時の感情で
人の今後を、命を、生死を、左右したりなんてしない。
私が見込んだ弟子は、そんなこと、したりはしないさってさ^^
でも…違ったらごめんな。本当に、ごめん。
あいつは優しい。
でも、それは…自分というフィルターを通した「自分本位なもの」でしかない。
人の立場に立ったり、考えたり、寄り添ったり、悩んだり、苦悩したり…
色んなそれを、省いたり、蔑ろにしてしまう。
だから、立場が最初敵だったというだけで
後々仲間と認識する割に、それだけには力を一切貸さず借りるだけ借りておいて何もしないで笑える…
だが…誰もあいつに怒ったりはしない。𠮟りもしない。
間違おうが、非人道的行為をしようが、どんなことをしようが、あいつなら正しい、優しい、そう盲目的になって思考に蓋をしてしまう。
それでは…ダメなんだ。
誰もが間違う。
いっぱいいっぱいな余裕のない時は、誰だって失敗する。
問題はその後の言動だ。
本当にしたくないのなら、行動に移さないといけない。
でなきゃ誰もついてかないし、本気だなんて伝わらない。
繰り返さないようにするしかない。
でもあいつは短絡的で浅慮だから、0になってもわからないかもしれない。
本当なら、お互い様って話なんだが…
今まで支えてくれて、助けてくれて、本当にありがとう。
応えられなくて、ここまでで…ごめんね。
どうか元気で、幸せに。愛してる」