第71章 改革
フィン「…思い遣りも?」
ケイト「…一度だって、特殊な環境を聞いた人はいなかった。
非常識と笑うだけで、攻撃してよいとするだけで、歩み寄ろうともしない『非常識な人達』ばかりだった。
帰らなければならない家に、場所に、環境に、軟禁され続けるばかりのそれに、たったの一度でも配慮する人はいなかった。
一人として…心を見ようと、心配する人さえもいなかった。
人に求めることそのものが、おかしなことだと、私は知ったよ。
いじめは、騙しは、人へ、常識とはこうだと、『他から見て非常識』なものを植え付けてくる。己に合う人物たれと、歪めろと笑う。
そして合わせたら合わせたで、変えさせた人ではなく、変えた人が悪いとする。
そういう始末に負えない人間ばかりが多く蔓延るのがこの世だ。
優しい人ばかりを標的にし、踏み付けにして笑う、『人殺し』の巣窟だ。
私は…思い違いをしていた。
人は…人を、餌にしかしない。
純粋に思い遣る人なんて、いない…
ツナが本当に、優しい奴だと…思ってた。
でも、そんなことはないのだと、はっきりと神様から直々に言われた…
人としての優しさ等ない、かえりみない、ただの勝手ものだと。
でも今一釈然としなくて…どんな風に、人という道が歪められたか、視界に入れてさえいなかったっ!
消えるべき魂なのだと、存在してはならない魂なのだと…世界を消滅に導く魂なのだと
いくら言われても、そんな魂あるはずがないと、そんな人ではないと、認めたくはなかった…
でも実際は違った…
証明しようとすればするほど、人格の問題が見えた。
頭を空っぽにして見ていた事実に、私は気付けなかった。
どれほどの人の人生が歪められて、どれほどの人が泣き寝入りさせられて、その上で笑い続けているのか。
急に関わられて、防げなくて、壊されて、無辜の住民達に迷惑かけてばっかりで、本人はやりたいことばかりで…
真に後悔すべきは…他の命に関しない「自分のやりたいこと」等ではなく
やりたいようにやった末『犠牲になった人心、壊した器物達』なんだ。
その後悔の比重さえも…
どれほど配慮が欠けた人物か、どれほど心が痛んでいないのか…
そんな簡単なことにさえ、私は…気付けなかった……」涙
魂が慟哭を上げ、滂沱の涙を落とし続ける…
人としての優しさをはき違えたことの後悔から
