第70章 新天地
市民カードで伝わってきた、ケイトとフィンの念に居ても立っても居られなくなった…
本当にもう心身もへとへとで、余裕も一片として残っていない。それでも嫌な想いをさせまいと慮ってしまう。
それに対し、つぶさに慮って敏感に反応するそれを面白がって、謝れと責める。ケイトへ聞こえるように、他の人へ言い広めて笑う。
そいつ等に限って、人のミスを取り立てて謝罪を求めるくせ、人には謝罪しない。
実父と同類だ。
『やれない環境で、時でいる奴』には、人権などないとしておいて
逆にそう(同じ環境に)なれば、己だけ人権は守られる、情状酌量の余地はある、と主張する。
ろくな人間ではない…低俗極まれりとはこのこと;(嘆息)
人に対し…立ち向かおうとはしない。それよりも、人としての高みを行こうとする。
低俗なこともせず、低次元な争いもし掛けず、笑って…幸せそうならと、許容してみせる……
どれほど、はらわたが煮えくり返っても、笑って…守るからと、大事なものかのように笑い掛けてみせる。
一番の罪は…本当にもう疲れ切って、心も気力も体力も疲れ果てて、それが故の些末なミスだと見極められないこと。
それをワザとしたことと吹聴し、余計自分で自分を責めるよう追い込ませることを狙ってする。
余裕がからっきしもないケイトに対し、声が出せないながらも繰り返さないよう配慮し続ける中でもなお、更に追い込み続けてゆく。
死体に鞭打つ、抵抗しないのをいいことに滅多打ちにする、サンドバッグのようにボロ雑巾になってもなお続ける…慈しみの欠片もない、非道の所業。
そんな配慮のない言動もそうだけれど…やはり、見極めの無さがそもそもの要因?(はっ)
本当に…もし、ケイトが配慮ないものだったなら、
じゃあ実父がこうしてきたからこうしてもいいよね?と殺し掛けるでしょう、
あんたが傷付けてきたから傷付けてもいいよね?と笑って傷付けるでしょう、
人を傷付けるのって楽しいね♪と満面の笑みを無邪気に浮かべ、狂気に染まることでしょう。
率先して傷付けて、怒りや感情に任せて殺して、笑う…
そんな所業を一つとしてしていない時点で気付くべきです。
何をされようとも…傷付けまいと、黙って耐え続けるその姿勢から……
まるで殴ってくる相手を気遣う『クッション』のように…
そう考える中…ケイトが話し掛けてきた…
