第70章 新天地
「神国の名に恥じぬ、神国民として!!」敬礼
そう鼻息荒く敬礼する児童に、神官は笑って頭を撫でた。
神官「ああ、その意気だ(頷く)
先程述べた犯罪行為だがな…
本当の、人としての優しさを持つものは、人の気持ちに寄り添い過ぎて、感情移入し過ぎて、決して出来ないのだよ。
最初から…
たとえ不可抗力でしてしまっても、その後で同じ過ちは繰り返さない。
気付かされないと気付けない過ちもあるがな…
先程挙げた最低限の礼儀は、死んでも繰り返したくないと奔走してしまうものだ。
ここで見分けるポイントは2つ。
・本人の二度目以降、『後の言動』をよく観察すること。
それでワザと、わかっていてし続けているか否かがわかる。
繰り返し続けていれば十中八九悪人、努力も最小限にしようとも欠片もしていなければ十中十悪人。
最小限にしようと死に物狂いで努めていれば善人だと思うべし」
「ふむふむ?」二度頷く
神官「そしてもう1つが…
・人の話を聞き、その感情に、言葉に、耳を傾け、人のことを考えるか。
これで人に寄り添える人間かどうかが判別出来る。
いくら心配したとして、殺しや傷付ける行動はしたくないとして、
結果、行動が伴ってなければそれは真実味も誠意も何も感じられない。
そんな人は、信頼に値しない。
口先だけの人間を、信頼して自分の仕事を任せたいか?」
「絶対やっ!」
神官「そう抱くのが普通なんだ…;
その2つに該当した時点で、加害者になっていることの自覚もない常習犯罪者に過ぎない。
人を犠牲にして幸せになることを、味わうことを、何とも思っていないんだ。
更に、この2つに該当し、優しいように言葉や態度を振りまいて、周囲に優しい人とさせている時点で、以下の人物像がわかる。
「自分のこと」しか頭にない、人よりも自分へ優しいだけ。
見せかけだけの偽りの優しさを笠に着た、罪を罪とも思わない、悪いことをしたと思わない人物に過ぎない。
他の己へのイメージを偽り、いい具合にだまくらかす。
決して、優しい人物ではない。
さて…君は、どちらになりたい?」
「人にも、ものにも、自分と重ねて~
あ、でも同じと決め付けずに?
んっと…全部に、優しく在れる人になる!」ふんすっ!←両拳を握る
神官「ああ、それを人道、正道と呼ぶ」微笑し頭を撫でる