第70章 新天地
光なんて差し込まない、暗闇ばかりの人生だった…
「お前など親になれるものか!」
「汚らわしい」
差し伸べる手も、助けも、無かった。
愛してくれたのは…母だけだった…
母が早くに死に、居場所も無くし、お金も奪われ、私は追い出され、シスター(修道女)となった…
こんな私が、親になんてなれない…なれるはずがない……
こんな姿に産まれた私など、誰も愛してはくれない…
人とは違う、こんな醜いあざを持つ私なんて……!
違うと言って欲しかった…
でも、そこに光が差し込むことも無かった。
ずっとずっと、温もりさえも…甘えられる場所さえも、無かった…
強盗に私共々殺された、かつてのシスター長は言った…
『人の為に尽くすことは、己の救いへ繋がっています。
相手を、子供を、己と思い、大事にしてあげなさい。
必ず…救いは来ます。どうか諦めないで…気を強く持って…
諦めない限り、道は必ず続いているから…』
そう、優しく包み入れてくれた。
それが、最期の思い出だった…
ああ…
でも、今…その意味が、分かった…
光はいつも、そこにあったのですね…‥シスター長……
この子達が、私を、包み入れてくれた。
光になってくれた。
私を、シスターに、親に、してくれた。
今では…今だからこそ、これまでの全てに、感謝できる。
「ありがとう…(この体に産んでくれて…)
ありがとう…(こんな私を愛してくれて…)
ありがとう……
私のっ…←孤児達に腕を回し抱き締める
大事な、掛け替えのない子供達……!」
抱き締められた孤児は「シスター泣いてるー!」と笑いながら頬を撫で
いい子いい子、と腕から溢れた子達が挙ってシスターの頭を撫でた。
かつて…シスターが子供達へしてくれたように……
無償の愛を、惜しみなく与えてくれたように………
「次私ねー!」
「僕もー!」
命の儚さ…尊さ…愛おしさ……
世の醜さ、冷たさばかりに揉まれて、いつしか見失いかけていた大事な温もりを…
助けてばかりだったはずの子供達が、与えてくれた…
「神よ…感謝します……
これまでの道に…
これまでの全てに……っ!」ぼろぼろ
道は、閉ざされていなかった…
私は…これからも、子供達の光になります……シスター
誓いの言葉は――しっかりと届いていた