第70章 新天地
後にケイトは父上の仇を取らぬまま…
殿を努め、最期にその命を散っていった…
元より散らす気はなかったという…
だが…その結果が揺らぐことはなかった……
守る為…帰らせる為…己が身を、命を投げ出して……
賤ヶ岳の戦いでの戦線離脱、前田利家軍の足軽組頭として…
敵軍から、農民と馬鹿にした同士も、友も、家族のもとへ帰す為に……
そうなるとは、当時は知らぬまま…
顔へ伸ばされる血濡れた父上の右手、
それをしっかりと両手で握り、意を決して正能(ケイト)は叫んだ。
それに…満足したように微笑み…苦しそうに最後に一息吸い…
そのまま…眠りにつくかのように、動かなくなった…言葉も発さぬ躯となるのに、そう時間はかからなかった。
正能「父上…父上っっ;;;」ぼろぼろ
初陣の働きを、見ていて欲しかった…
これからも…頑張ってゆく。
その姿を、近くで、傍で、見ていて欲しかった…
いつものように…
父上『ふっ)よくやった』
竹若丸『はい!父上^^』
安易に微笑みは出来ずとも、僅かに頬を緩める表情を、その変化を見るだけで…嬉しかった。
心底、私の身を案じてくれていた。
愛し、見つめ、導き、寄り添い、共に歩み、進む道標となって下された…
何よりも大きく、何よりも気高い…戦国時代の在り方に疑問を抱き、無闇に殺さない、誉れ高き…誰もが認める立派な武士だった……
幼き頃、8つの頃…囲炉裏の傍で父上は言った。
父上『約束だ…
「殺す相手は選べ」
そして「忘れるな」。
「結び、
(与えられた学びを反芻する)
繋ぎ、
(後の出来事へ生かす)
紡ぐ…
(次代へ伝え、教え、導く)
一つの、道として…」』
失敗し、泣き、頭を撫でられ、囲炉裏のもとで静かに寄り添われ(肩にもたれ、微笑みかけられ、満面の笑みを浮かべる)、夕暮れの中を父上の右手を左手で握り共に歩む。
父上『か細き数多もの道を、遠き果て無き時を、束ねる…
それが、侍だ』
竹若丸『私も!
私も!その道を歩んでゆきます!!』
父上『ああ…高杉を、この家を任せたぞ』ぽんっ←背に手を当てる
竹若丸『はい!(さっ!)←正座を改める
きっと!きっと私が!後世にまで、継がせてみせます!』
父上『うむ…よく言った』目を細め微笑し頷く
母上『…^^』
竹若丸『^^//』