第70章 新天地
前々世…前世…
二度、共に、先立たれた――
今世こそ…先に死なせはしない…
何度目かの誓い…
死なせたくないと、幾度も魂が慟哭が如く叫ぶ所以……
この腕の中の命を、二度と絶やさせないこと…
それだけが…僕の変わらぬ、願いだった……
君との生の喜びを噛み締めながら…
未だ気持ちよさそうに瞑目し、微笑みながら眠りにつく彼女を抱き締めた。
感慨深く味わっている最中…僕の肩の震えで起きたのか、抱き返されたまま右手で頭を撫でられた。
勿論、例の処理は済ませてある。
ケイト自身、会話中にされていたことに気付いていたようにも感じた。
と同時に、触ろうともされたが軽く払うと即座にやめて、やろうとはしなくなった。
ちゃんと意を汲んでくれることは助かるのだが…せめて聞いてからして欲しい;
起きた時そう思ったことを伝えると、「わかった、なるべく言ってからやるように気を付ける」と頷かれた。
が…僕も僕で…たまに嫌がること(くすぐり)をしてしまったので、お相子、お互い様とした。
いつも赤裸々というか、好きという想いが止められないだけで…
それ以外の想いがない分、付き合いやすい。
純粋過ぎる気もするが…相も変わらず画策も出来ないタイプだし…
変わらないそれに、僕は笑った。
ケイト「でもごめん。
8月16日だけは無理、絶対ダメ。何かに当たり散らすかもしれない」
そう言われたが、それごと受け入れると説き伏せた。
だが…
ケイト「傷付き損になってしまう。どれほどの時が経ようとも傷が癒されない、消えないから…
そうなることが申し訳ない。感謝されない、意にも介されなかったことを重ねて、正気を保つ所ではなくなってしまう」
フィン「そうなるほど柔じゃない。
第一、君は優しくするだろう?
どれだけ本気で殴ろうと、斬ろうとも…決して傷を与えたことさえないのだから」
ケイト「うーん…;
もしも、危なかったら、苦しくなったら、逃げてね?;」
フィン「逃げないよ…二度と離さない」ふっ
ケイト「…(ぷっ)
変わらないなあ…^^」
フィン「……そうだね^^」
そう笑い合った…
時間的に言うと、目覚めた時には昼を過ぎていて…
法律として定められた昼寝の時間となっていた。
各々、休憩時間中にでも各自15分睡眠をとるように…と――