第70章 新天地
ケイト「……全部…試したんだ…」
フィン「ああ。
それも僕等とは違って生まれついての全知全能だ。皆集えば解決策など無限大に生じる。
その全てを試した上でダメだったんだ。だから消された。他の方法では皆死ぬから、世界という理も概念も全てが死ぬから」
ケイト「……」
フィン「君が、踏ん切りが付けれない理由は…わかったね?
君もまた、彼の被害者だ。
傷を付けられ、更に周囲は貶めるなと怒る。誰も諌めない。
致命的な命令で、大事な人を殺され、奪われ、平気な素知らぬ顔で笑う。損な役回りを押し付けられるだけ。
その中で、更にいい人と盲目な人達から口々に言われ続けた。傷口を抉られ続けてきたのだから…」
ケイト「……ごめんね……
まだ…わかってなかったみたい…
わかった気になってた…でも、最低なことをやっていることへの指摘も私はまともに出来ていなかった。
やられている自覚よりも、止めなきゃって…地獄落ちを回避させなきゃってそればっかりで…
肝心な点には、目を向けられていなかったね…」俯き
フィン「いや、それ(肝心の傷)を自覚する為のものだから…
今回ばかりは仕方ない」
ケイト「…うん…
うんざり、させちゃったね…
沢山、辟易させて…嫌な思い、させたよね…
ごめんね…」深々お辞儀
フィン「……別にいい…
その優しさが、神聖さこそが、宝だと思う(なで)←右手でケイトの左肩に手を添え撫でる
立場を抜きにして、されたら嫌だろうと人の気持ちを考えられる、踏み止まれる、度外視も他人視も、仕返しも暴虐も殺しも出来ない。
たとえどんなことをしてきた人であっても、君は情け深く感情移入し人を愛する姿勢をやめない。恩人とまで言い出して身をとして守りに行く。
そんな優しさが、僕は好きなんだ。
時折、うっとおしく感じることはあっても…嬉しく思うよ…」
ケイト「……ごめん、期待には沿えないようだけれど…」
フィン「ん?」きょとん
ケイト「嫌いな人、一人だけいる。
感情や心を抱く、背景や価値観が違う同じ人類として…全員を『恩人』と捉えてはいるんだけれど…
実父は、歪んではいても愛してくれたから、生きてはいるから…殺されかけたけど恩人とは思える。苦手だけど…
でも彼だけは無理、嫌い;」
フィン「うん。そこは僕も無理」
ケイト「…;」
テロップ『早過ぎる!』