第2章 冒険者・1日目
父親は自分のせいだと喚き、元々あったDVが全て自分に向いた。
母もまた自分を責めに責め、家に帰る度に暴言を投げかけられた。
放心したまま無気力に死に場所を求める時間が増えた。
その日から食欲も何もわかず、何をされてもされるがままになった。
ロキ「食べ物あまり食べんかったのはそれでか;」あちゃー&ぺしっ
「もっと食べ!」と言ったことを、嫌なことしてしもうたという想いに駆られてかロキは自身の額を叩いていた。
兵の鬱憤晴らしの為に斬り刻まれもした。
それでも勝つ為に必死に磨き続けていた。
しかし勝てば何もしていなくても罪を着せられる。
それでも…負けたくはなかった!
気付けば毎日降りかかる暴虐の経験をもとに、剣術と体術が一体化した我流を築き上げていた。
でも何も楽しいと感じなくなっていた。
そんな日々が、10歳になるまで続いた。
リヴェリア「アイズの動きに対処できていたのはそれでだな」
ケイト「DVの後で冷たい部屋に毛布なしで叩き込まれた。
その時に、いつでも精霊は寄り添ってくれたんだ。
だから…いつも手間かけさせてごめんって想いもあった。
でもそれ以上に…ありがとうって伝えたくって、クリエイトで魔力をそのまま与えたんだ。
それだけで一気に上級に進化して、全属性を得るなんて…当時は思いもしなかった。
それだけのことで、身体がこんなに変わるなんて思いもしなかったんだ」
ロキ「気ぃ落としなや(ぽんぽん)
ケイトが悪いわけやない」
アイズ「こっくり)…私もそう思う」
ケイト「ありがとう…」じわっ
気付けば私の両目は涙で潤んでいた。
肩に触れるロキの手と、真っ直ぐに向き合ってくれるアイズとリヴェリア。
それがとても温かくて、心地よかった。
10歳になった頃、両親が死んだ。
いや、殺されたと言った方が正しいだろう。
街の人達は、父親と母親もまたその因子を受け継いでいるはずだと信じて疑わなかったんだそうだ。
自分に対してやっていたことと同じことをすれば無論死ぬだろう。事故死と片付けられていた。
それでもそれを聞いても何も感じなかった。
気付けば…心というものを無くしていた。
何も感じないぐらいに、感情というものが麻痺していた。
温かなそれなど街にも家族にも無くて、気付く間もなかった。