第2章 冒険者・1日目
その光景は、精霊寵愛が実現した所だった。
《クリエイト》は先天的に持ち合わせた魔法のようで、神との間にできた子であることの証明のようだ。
その時を皮切りに、化け物と罵られ始めた。
どんな怪我を負っても瞬時に完治、全状態異常無効化。
それは確かに、人にしては過ぎた力だったんだろう。
大人は何を思ったか、興味本位から実験を始めた。
ベッドに縛り付け、固定し、腕を千切り、足を千切り、目をくり抜き…思い付く限りの残虐な行為を行い続けた。
断末魔が響き渡り続ける中、それでもその手は止まらなかった。
6歳になってから、ようやく効果についてわかったそうだ。
「血に常に傷を治す為の力が、肉に体欠損回復、骨に状態異常回復といったように効果が分けられており、『全身が同時に消滅しない限り』死なない」ということが判明した。
はっきり言って全身が毒に等しい。
生き物が自身の肉を食べたり血を飲むと、内から爆発して死ぬ。
500倍希釈しないととても飲めないし食べれないが、回復薬にもなる。
首だけにされてもなお自然と全身が生えていって完治するほどで、食べ物や水を取らなくても死なない。
周囲から気味悪がられ、『化け物』と呼ばれるようになった。
当時、本人にも自覚はあるようで溜息を零すばかりだった。
しかしそれは、姉を殺す要因となった。
気味が悪いと両親にまで言われ、母からは距離を置かれ、父からされていたDVも悪化の一途を辿った。
父は剣を左脇腹に刺したまま放置。近付こうとするのは姉だけだった。
姉はそれを抜こうとしてくれたのだが、8歳の力では不可能。
その当時、たまたまあった傷口から姉に自分の血が入ったことで、血の効果が強過ぎた為に死亡した。
ケイト(6歳)『あ…ああ!;
うああああああああああああああああああ!!!;』
それは自分に消えないトラウマを残した。
目の前で死んでいく大切な人の命に対して、何も出来なかったのだ。
アイズ(「お姉ちゃんが欲しかった」と言っていたのは…望んでいたのは、それでだったんだね…)涙目