第69章 文明開化
そう感慨に耽っていると…
寝ぼけているのだろうか…僕へしがみ付くように抱き締め、力強く引き寄せ、唇を奪った。
そのままじっとし…僕の温もりを堪能するように、チロチロと舌で唇をなめてきた。
そしてそのまま唇でついばみ、パクパクと何度もこすりつけてきた。
それに僕も目を細め、その温もりを堪能するように、そっと応えた。
起こさぬよう気を付けながら、抱き返し、体制が崩れないよう支え、何度も何度も繰り返し…
そして…数分も経たぬ内に意識は完全に眠りへと吸い込まれたようで、静かに動かなくなった。
フィン(眠った、か…)
そう安堵したのもあってか、ふああ…とあくびが出て
そのついでに両腕で伸びをした。
腕で支えていたのを、柔らかい塊とした僕の魔力で支え、そっとベッドへ沈める。
ケイト「すぅーすぅー」
完全に熟睡し切るケイトを見やり、早速だし料理を作ってこようと思い至り、ベッドから降りようとしたのも束の間
ケイトが服の裾を握っており、無理やり外すには神の力で強引に引きはがさなければいけない
=起きる
引っ付いていて、と…そう訴えかけているようにも見えた。
フィン「^^;
…(弱ったな」苦笑
料理を作りたいのだが…それはどうにも無理なようだ。
それがわかって僕は苦笑した。
しかし…僕も僕で、彼女とのんびり寝る生活も悪くはない気がしていた。
こういうのんびりとした時間が欲しくなかった訳ではない。
ケイトの気持ちも想いも十分わかっている…
あのヘレイオス街での事件から…3か月しか経っていない。
にも拘わらず…あまりにも多くのことがあり過ぎた。
それも矢継ぎ早に…放っておく間等なく、安心した時間を過ごせたのは…新婚旅行の時ぐらいだろう。
人を焚き付ける天才だと言えばいいのだろうか…
気が付けば、長い間Lv.6から伸び悩んでいた僕らまで神に至っていた。
彼女に突き動かされたと言ってもいいほどに…沢山の出来事があり、それに単身で無理をして分け入っていった。
死も恐れず…私ならばたとえ死んでも望まずとも勝手に生き返ると…
精霊王の半身だから、皆が傷を負うよりは、死ぬよりは、と…
かけがえのない命なのだからと……身を投げ出してまで守ろうと直走る……
自己犠牲が過ぎる…
だが…だからこそ…放ってはおけなかったとも言える。