第69章 文明開化
成人の儀は、星受勲の儀で授かった鞘に納める『剣』を与えられる。
自らの言動に責を持ち、人としての間違いを犯さず止める『鞘の心』を持つ。
そう言い切れる立派な大人であるという証でもある。
成人後、帯剣が認められる――
信頼の証として…
魔術式でも何でも断ち斬れてしまう刃と、それを封じ込める鞘と共に…
双方あっての剣として…
剣は鞘も含め己の分身…何時如何なる時も共に在り……
8歳となる前日、各家庭にて個室を与えられる。
8歳前夜、校長先生が完成品を手に一人一人訪れ、鞘を渡しに来る。
そしてそれは与えられた部屋で行われ、その日の晩のみ剣も共に居させられ、8歳の誕生日に自ら持って登校するのだ。
15歳となれば与えられる剣も見せられ、その場で持ち主登録をさせられる。
その時に、魔力金属製の鞘も、剣も、己の魔力、魂の色に染まり、魂の状態を示す。
曇れば悩みを抱え迷っている、澄み渡れば晴れ渡っている。
鞘でも持ち手となる部分を後ろ側へスライドさせれば中の魔力金属の様子、色も曇り具合もよく見える。
校長「言われるがままに動けという訳ではない。
『責任を持って動ける人で在れ』ということじゃ。
己で考えて動き、己という個を示せ…とな。
だからこそ…その剣は、魔術式であろうとも斬れる業物じゃ。
人を傷付け殺すことも出来る、この国を墜落させることだって出来てしまう。
如何に振るうかは己次第」
「怖いよお」涙がたがた←未だ剣が納まった鞘を持っている
校長「うむ…(微笑)
その為の、鞘の心じゃ。
安易に解き放ってはならぬ。
だが、己の信じた個を出す為ならば、厭うな。迷うな。
信じて、己の道を切り開き、突き進んで行けばよい。
その剣は、お主じゃ。
さて…お主は、その剣を持って、何をしたい?」
とても重い信頼に…震える子、泣き叫ぶ子がいた。
だが…害することには決して使いたくはないと、誰もが語った。
「守りたい!」
涙ながらに、その子は叫び…校長は満面の笑みを浮かべて頷き、その頭を優しく撫でた。
校長「ならば大丈夫じゃ…^^
自身を持って、その剣を持って、学舎に来なさい。
堂々と、な」ぽんっ←右手を子の左肩の上に置く
「はい!」涙&真剣
月夜の光が差し込み2人を包み込む中、更に校長先生は言葉を続けた。