第69章 文明開化
誰もが合わぬ、合う存在がある。
異なるというだけ…
なので…寛大な精神で、寛容な精神で、相手の在り方を、個を、受け入れること。
慈しみの心を持ちなさい――
人の心とは刃、すなわち剣…
むやみやたらに、闇雲に振るえば猛威となり、修羅となる。
そうなれば怨嗟や災禍を自らへ招き、自らだけでなく周囲まで巻き込み、争いしか起きぬ「滅びの道」へと直面する。
『鞘の心』を持ちなさい。
鞘に納める『勇気』を持ちなさい。
先のことを考え、他を慈しみ、ものでも何でも大事にする心を育てなさい。
そして我慢ならない時こそ、その刃を解き放ちなさい。
刃を持ち、鞘を携え、人となる。
鞘を無くし、徒に刃を振るい猛威を振るえば「修羅」となる
刃を無くし、鞘を振るえども脆く砕け散りて「虚無」となる
『双方共に在りての人』である
どちらも捨ててはならぬ大事な心だ。
汝、『鞘の心』を忘れるなかれ――」
8歳の『星(せい)受勲の儀』では、そのように8歳となるに当たっての心構えを諭す言葉を伝えられ、9学年となる8歳の皆に一人一人名が刻まれた手作りの魔力金属製『星の勲章』を与えられる。
胸に『星の勲章』を、校長から一人一人手ずから左胸、心臓の上に付けられ
「おめでとう」と左肩に右手を置かれ、直々に祝われる。
その時…15の成人式で与えられる剣(脇差(長さ56cm))の『鞘』を、同様に共に授与される。
それから最後の締めに、子供達は声を揃え高らかに宣言する…
『我、成人に至る中間点を越したものなり!』
そう、授かった鞘を左手に水平に持ち気を付けの姿勢のまま、自身の右拳の親指で自身の左胸(星の勲章)を叩き突く敬礼(2725ページ参照)をし、声を揃え高らかに宣言する。
ばっ!
その直後、右拳は変わらず敬礼したまま、左腕以外は微動だにせぬまま
鞘を水平に持ち左太腿に付けていた左手を、下から上へ上げるように眼前へ捧げ、前へ前へ掲げ、また共に声を揃え叫ぶ。
『共に生き、共生し、道は違えど心は一つ!
神国の民として、『鞘(慈しみ)の心』を持ち、己という個を貫き続けることをここに誓わん!
ウィージュア!!』
半分は鞘の心、もう半分は慈しみの心と。
「ウィージュア」とは「私達はあなたと共に在り」←2646ページ参照
ケイトが作った造語だ。