第2章 冒険者・1日目
ケイト「話の腰を折るようでごめん。
リヴェリア、一つだけ教えて」
リヴェリア「?何だ?」
ケイト「尋ねたかった時に言えなくって…精神疲弊(マインドダウン)って何?」
リヴェリア「それを説明するには魔法について話す必要があるな。
魔法とは、体力の対をなす精神力(マインド)を削って行使、発動させる。
体力に限界があるように精神力にも底があり、底が尽きると『気絶』する。
それを精神疲弊(マインドダウン)と呼ぶんだ。
ステイタスにある「魔力」とは、その発動回数の上限を指し示す数値だとも言える。
たとえ魔法を持っていたとしても魔力がなければ発動しないからな。
その点ケイトは魔操作で空気中のそれを吸い取って自身の魔力に還元できるし、外の魔力をそのまま操作するだけでも魔法を行使できるだろう。だから精神力をそれほど必要としない。
だからこそ精神疲弊が起こりにくいと踏んだのだ」
ケイト「なるほど。
…?でも魔力と精神力の違いは何なんだろう」う~ん
リヴェリア「魔力自体は、魔法となる前の力だと考えていい。
体内に有する魔力、それを精神力で制御しながら外に出して集中させ、詠唱をもって『魔法』という現象へと化す。
ケイトの場合はその魔力を体内から出さず、自身の動きに合わせて強めるよう自在に操り、体内の筋肉や神経等に集中させることで身体能力を跳ね上げた。
これは魔法というよりも、ただの体内における魔力操作に過ぎない。先程「魔法ではない」「魔力を使っていた」と言っていたのはそれでだ」
ケイト「なるほど。
魔力は魔法の源で体内にあるもの。精神力は魔力を制御して魔法へと変換する力。魔法は精神力と魔力で生み出された超現象。把握しました!
長々とごめんね」ぺこ
リヴェリア「気にするな。
…もし、辛ければ目を逸らしていい。無理はするなよ?」
ケイト「はい!」
そうして気を取り直して水晶を覗いた先にあったのは…
5歳の頃の私で、物心つく前から契約していた下級精霊に感謝の念を込めながら
クリエイトの発動前の魔力をそのまま送っていた所だった。
それは浄化の光にも見えて、とても綺麗な魔力の塊だった。
それによって精霊は一気に上級にまで進化したようで、感謝を示すかのように私の身体に光を散りばめた。
怪我を負った時、身体に大きな変化が現れていることがわかった。