第68章 騒動
9の時…根こそぎ政敵となる貴族を刈り取り続けた結果もあってか、大分と減りつつあった。
少し我が儘を言って、海岸を共に歩きたいと爺に言った。
「…下ろしてはもらえぬか?」
「ダメでございます。おみ足が汚れます。もし傷でも付いたら何としますか!」ぷんすか
問答無用で肩車されながら、海岸沿いに歩き…海風を浴びながら、爺の頭頂部に顔を埋めた。
2人きりなのをいいことに…
「爺…」
「何ですかな?坊ちゃん」
「…爺」
「坊ちゃん?」
「……爺っ」ぽろぽろ
「はい、坊ちゃん^^」
「…爺…爺ッ」
「はい、坊ちゃん。
爺はここにおりますよ^^」←背を右手で撫でる
「爺ッ;;」ぼろぼろ
「はい坊ちゃん^^」
弾んだ声で、音頭を取るように爺は答えてくれた。
わかっているだろうに…
潮風が目に染みたのでは?雨が降ってきましたし、とまで誤魔化してくれた。
父上と母上は今日も来ない。誰も来ない。来たりはしない…
寂しさが込み上げ、今日もまた共に寝てもらった。
乳母も一緒になって…
10の時、ついに貴族からの貢ぎ物は無くなり、第3王子と使用人達からと乳母と爺からのみとなった。
やっと安心して暮らせる、そう思った。
だが…その矢先…2か月が経った頃、本島の外れから、クレタ島に流された←2735~2739ページ参照
別れの時…
「おいたわしゅうございます(ぐすっ!)←涙
ついていけず…無念でございますっ」震号泣
「微笑)よい…屋敷は任せたぞ」
「はい!
お帰りになる時は…必ずお迎えに上がります」
「…ありがとう、爺…世話になった」
「今後も世話をします!こちらに来た時!必ず!!必ずや!!」
「ああ…約束する!私は必ず、また、ここに訪れる!」
父は…
政敵から守り切れないと踏んで、閉じ込めた。
会いに行くことも禁じた、より危険がふりかかるだけだから。
反乱分子の餌として使われた…利用するだけ利用されて、捨てられた…
それらを察した後…あの父の手紙の言葉の意味が分かった。
『構わん、監視を続けよ』
反乱分子として動くか否か、試されていたことに!
「私は道具でしかなかった!!」
地面を殴り続けた。
虫が拳から登ろうが構わず続けた。何も殺さず…己の心以外は…
声がかれるまで叫び続け、涙が涸れるまで泣き続けた。