第68章 騒動
「そこで…この爺、一計を案じました。
2人きりの時…
「坊ちゃん」とお呼びしてもよろしいですかな?^^」
「!!」瞠目
「…嫌ならば無理にとは言いませんが…これが最大の譲歩でございます」
「いや…よい。
呼んでくれ」嬉しそうに涙を滲ませ笑みを浮かべる
「はい^^坊ちゃん」微笑←愛し気な眼差しを向ける
その夜…月光が刺す部屋の中で、こう続いた。
「…爺」
「?」
「…今日は…ご苦労だった。これは、嫌でなければだが…
余の、隣で寝ないか?//」
「…」瞠目
「……爺?」
「不肖の身なれど喜んで^^」
「ぱあっ!)うむ^^//」
最高の誕生日プレゼントだ、と喜びが溢れ出ていた。
親の愛情を知らないまま8歳になった。
爺>乳母>第3王子なのだろう。
無償の愛を惜しみなく、絶え間なく注いでくれたのは…爺だった。
他の誰でもなく…爺だけだった。
それから数か月後…
王族ということで、貧しい平民の童が殴りかかってきた。
棒を手に戦おうとするが怪我をすれば禍根が残ると思い、素手で伏せさせた。
「護身術も所作も振る舞いも言葉遣いも全て!
それを頑張ってさえいれば…いつか…いつか……必ずっ!
私は、私ではない!親の顔すらも知らない!」
「坊ちゃま!」
「私に自由はない!
王族たる振る舞いを求められ言葉も何もかも、制限される
「坊っちゃん!」
「……(すくっ!)←立ち上がり童の上からどく
親が傍におり、共にいれるだけ有難いと思え。
これをやる。両親を大事にせよ」
現代での300万円相当の金を地面へ投げ渡し背を向けた。
次の日、童が家族ごと失踪していた。
「どれほど金があろうと、地位があろうと…
私は…私の、本当に欲しいものは手に入らないっ!
何の為に…私は!」
「おいたわしゅうございます」←静かに寄り添う
親の愛情を受けたことはない。
あのように一身に受けることもない。
私にあるのは…信の置けるのは…爺やと乳母だけだ。
血縁では第3王子だけだ!
二度目の手紙を書かれた…
『もう坊ちゃまは限界でございます!
せめて一言、せめて一目だけでもお会いになって下さりませんか?』
返事は変わらず…
『構わん、監視を続けよ』
それを9歳間近の夜、発見した。
自分を殺すこと、隠すことが得意にならざるを得なかった。