第68章 騒動
さて――と…
問題が一つ、また湧き上がってきた……
この欲情を、どうしてくれようか………(すんっ)←遠い目&賢者のような諦め切った眼
呪縛から解き放たれたのも束の間…ケイトも僕も、世界樹の実のせいで欲情していた。
例の世界樹の実の効能(3102ページ参照)は一体いつまで続くのか…
少し不安に思いながらも、以前…
当初よりはマシだったので何とか耐え、キスをし合うだけで落ち着いていった。
その時、ケイトから例の件を謝りに行った時の皆の様子を教わった。
何でも――皆が皆、ケイトが吐いてくれたことを心より嬉しく思っていたらしい
ティオナ達が言うには…
「実父や実母や実姉がしてきた不利益もある。
実父とヘレイオス街の人達に至っては殺そうとまでしてきた。傷以外何も与えなかった。
だがケイトは決して言わなかった。
悪い奴だと言わず、正そうともせず、ただ…何も言わなかった。
普通の感情が亡くなるまで、麻痺して心さえも感情まで無くすまでされても、回復した後でも怒りをぶつけたり、愚痴や恨み言を吐いてもいいのに決してしなかった。
それを実母から毎日され続けていたから、される側の気持ちがわかるからと決してしなかった。
逆に言うならば、『それを破ってまでするということ』は『それほどの何かをされたんだろう』ということ。そう受け取っていた。
ケイトはそれまで「一度も」破ったことがない実績、今までの日常的な言動と素行がある。なのに、それを破ってまでするというのは『よっぽどだ』と、『よっぽどのことがあったのだろう』と。
それに嬉しかった。やっと頼ってくれたって思った。
だから、悪いことをしたと思わなくていい。甘えてくれていい」
とまで言われたらしい。
だが…流石に、『世界ごと大事な全てが消された』とまでは思わなかったそう。
その経験までは、記憶までは決して消えてはくれない。
だからこそなのだろうと理解も示してくれた。
早い話が…やっとそこまで感情が回復した。
そして、してはいけないと判断していることをぶつけられるまで信頼を勝ち得た。
甘えられること、頼ってのこと、それらは一度としてなかった。
だからこそ、尚更嬉しかったのだと…
そういった内容を話され、僕も素直に嬉しかったと頷いた。
ケイトが誰かのことを言うのは皆無だったから。