第68章 騒動
ケイト「………自分も……全部…大事に」
マヤ「……あんたの心は今も泣いている…
今も…あんたが無いものとなっているから。
あんたの人生の中心が、あんたではなく、別のものに縛られているからさ。
今も、傷に追いやられている。
実父の人生になっている。
今度は彼の人生にでもする気かい?
その因縁は、傷を付けてきた人が…『してきた本人が繰り返さないようにすること』でしか、消せないんだよ。
した本人にしか、背負えないんだよ。本人が背負わなきゃ、繰り返さないようにしなきゃ、いつまで経ってもその罪が解消されることなんてないんだよ。
した張本人なんだから…気にしないということは、繰り返し続けているんだから…
報われない、苦痛も、叫びも、全て…それに報いれるのも、因縁に終止符を打つのも、本人が繰り返さないようにすることでしか、無理なんだよ。
あんたの心は…あんたにしか救えないんだよ…(ぴとっ)←額に額を当て、双眸を見据える
どれだけ満たされても、穴の空いた心じゃ…傷が刻み付けられた心のままじゃ……満たされることはないんだ……
その穴は…本当なら、傷付けてきた人が繰り返さないようにしなきゃ埋まることはないんだ。
だから…しない人だから、気遣えない人だから、あんたが埋めるしかないんだよ。
身近な人の気持ちを、軽犯罪される女達の気持ちを、無いものとして、外面よく思い通りに動かそうとする実父。
被害者が絞られている分、被害者数が少ない。
身近な人以外の気持ちを無いものとして思い通りに動かそうとする彼。
被害者の数が多い。
どっちも優しいのはわかってる。
でもね…それで傷付けられた心は……ゼロ(0)になるのかい?
あんたのように…無いものとされればいいのかい?
あんたのようにされた人は、都合のいいように黙らなきゃ、殺されなきゃならないのかい?
踏み付けにされる心を、無いものとしちゃあいないかい?
だから泣いているのさ…満たされないままなのさ……
報われないから…泣いているのさ……あんたの心は…泣き続けるしかない。
声も上げずに、そう教えられたまま、そう在ってしまっている。
そこが問題なのさ…喚けばいいのに、怒ればいいのに、それでも変わらないのがわかってるから…痛くて痛くて堪らないのさ……
ケイト……私の言っている意味…わかるかい?」涙震