第68章 騒動
精霊王「鬼の目にも涙;」硬直&ぼそ
マヤ「お黙り!・・」ぎんっ!
睨視したそれに、覚えていろと背が言っているように感じた。
ケイトの様子が気になり、覗きに行き…回り込んでみると…
号泣
涙に濡れるマヤに共鳴するように…
文字通り号泣しており、涙が止めどなく溢れては止まらなかった。
どうやら自分でも気付けていなかったようで…マヤから指摘されて、浮き彫りになった瞬間、気付いてくれたことへの嬉しさからか、心が産声を叫んでいるからか、泣き崩れていた。
そんなケイトに、僕は右隣に座って優しく肩に腕を回して抱き締め、背を撫でた。
空も泣き出してか…急にざざぶりになっていた。
咄嗟に空間を張ることでカッパ代わりにして雨を凌ぐ中、なおもマヤは言い続ける。
マヤ「自惚れるんじゃないよ。
あんたがいくらしたって、頑張ったって、お膳立てしたって…
たとえ許したって…地獄落ちなんて苦痛味わって欲しくないといくら叫んだって望んだって!
その罪は消える訳がないんだ!!
地獄落ちして欲しくないのなら、本人が頑張らなきゃ出来ないんだ。
いくら周りが頑張ったって、本人が繰り返さないようにしなきゃ、頑張らなきゃ、その罪が清算される訳も、消える訳もないんだよ。
それこそ無意味だ…無駄死にだよ……
付けた本人にしか救えないのに、傷は報われないのに、更に殺すこと…
殺すことってのはね…それらを傷付けた出来事ごと無視し、無いものとすること……
それが、それこそが、罪なんだよ。
繰り返さないようにしない――
それだけで、人の心と傷を殺し続けるようなものなんだよ!
あんたの実父も、彼も、繰り返さないようにしなきゃ!傷付けられた人の傷も、心も!殺されたそれらも全部報われない!
お膳立てしたって、許したって、いくら頑張ったって、地獄落ちから助ける為に尽くしてきた人達のそれら全てまでもが!!
だからこそ地獄落ちするのさ…
その大きさが、重さがわからない限り!
繰り返さないようにしようなんて動けやしないから!!
その傷付けた行動が、生かされてなんかいないから!無駄にしかしてないから!!地獄落ちという沙汰以外下せないんだよ!!!