第68章 騒動
ケイト「!!(瞠目)
(そうか…
顯子(あきこ)と、実母が神様から言われて名付けようとされてたのは……
顯とは…平常では外から見えないものや内部にひそんでいるものが表面に現れている様。
つまりは……自分を、出すこと……)
私…出したら…殴られて…蹴られて…一度でさえも…違いを、私という個を、感情を、受け入れられたことなんて、たったの一度ですらもなかった。
結局…私……操り人形の呪縛から…逃れられてない。
父母に言われた瞬間すぐ動かなければ、喚かれるかサンドバックにされるかのどちらかしかなかった。長年ずっと、そうだったから…習慣だったから……
感情も、意思も、己という個も…それらさえも、全てが敵でしかなくて、痛め付けてくる相手でしかなくて……
聞いてくれる人も、助けてくれる人も、理解する人も、一人として…想ってくれる人すらも家族以外は……
そっか……自分を大事に想ってくれるという前提から、まず間違っていた。
それそのものが、無い日々だった。
助けに割って入ってくる人なんていなかったから…一度もそういった場面に遭遇したことがなかったから…気付かぬ内に『いない前提』で動いていた。
自分を大事に想う人、それを視野に入れられてなかった。
せめて見送らせてくれ、見届けさせてくれ…そう言ってくれたリヴェリアの想いが、今になって理解出来た。
そっか…大事に仕方が、ない前提のものだったんだ……
少し、考え直さないと…
でも、それをしたら……それまでのが…無いものと?
苦しいと感じる感性は誰もが異なる。人全てに違う苦しみをお与えになる。試練として、愛情として…
でも、肝心の重きを置く点まで変えてしまったら……
一体、何の為に――?
私は…自分以外に、同じような張り裂ける苦しみや哀しみを、痛みを、知って欲しくない。
知らないまま、幸せでいて欲しい…
その為なら…私は、私ですらも殺す。
こんな激情を…激情故の暴走、鬱憤晴らしの為のサンドバックになんて。あんな苦しみを、長年与え続けられて当然とされ続けてきたあれを与える側になんて回りたくない。
私にとっての幸せは…それを与えないこと、幸せな姿を見ること…それを見届けられるだけで、幸せだった。
自分と重ねて、救われない存在を救うことに、誰からも守られず死ぬはずの命を守ることに、救われていた…