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Unlimited【ダンまち】

第67章 躍進





「気にしないこと」

不意に耳を刺したのは…フィンの声だった。


フィン「何も今に始まったことじゃない。

ずっと前から、ずっとそうだっただろう?
彼は幾度異世界で出会おうと、どれほど頑張ろうと、尽くそうと、それを笑ってする人だった。

いくら説明された所で、周りを盾にして自分を保身的に守ってきた。
周りが必死に、いい人だと、優しい人だと、そんな人ではないと、壊れたテープレコーダーのように言う。

人の道理をいくら説いた所で、僕等が狂っている、悪だ、敵だと言われる始末だ…

それによって被害を被った側には、人権も、発言権も、何もかもを与える気さえないのは明白だろう?


そんな奴に今更かまけて、人としての道理を説いた所で、所詮無駄というものだ。
君は一体彼の何を見てきた?

身内を殺されれば怒って殺しに行く。自分はいくら殺しても平然と笑う。自分の身内が殺される方がおかしいとまで言い出す始末。
繰り返さない努力も、負担を減らす努力もしないまま他力本願だろう?
いい加減彼の行動パターンから認識を改めるべきだと僕は思う。

クズは所詮クズのままだ」
ケイト「!!」

フィン「いい加減…全面的に気にしない方がいいよ。

それとも…それすらも出来ないほどに、君の彼への怒りは増したか?」

ケイト「いいや…もう限界値をとっくに超えてるよ。
たとえ同じ記憶を有していようと、同じ魂をしていようと…共に過ごした地じゃない、世界じゃない、育んだ場所、人ではない。

怒り…?そんな生易しい次元は疾うの昔に遥かに超えている。


でも…ただ、信じたい……
というのが私の本質らしい。どんなクズでも、それ相応の事情があるt
フィン「一体彼がいつ、苦しんだ時期があった?
怒りを制御せず身に任せて殺し、必要がない殺しも2度した。が、苦しまない。

嗜虐の限りを尽くし、軟禁され逃げられずにいた君のような長年に渡り続く苦痛を…彼がいつ知った?
彼の家庭にあるのは愛情だけ。同じく元敵以外の仲間にもそうだ。人から掛けられる意見も、肯定以外は何も認めない。
元敵の仲間には他力本願、都合のいい利用でしかない…

仲間ごっこのままごとを見てる気分だ。


で?君は、君の怒りを、君が君である為の闇を…どう処理したい?」

ケイト「う~~~~~ん;

ごめん…『気にしないこと』だよね。
彼の人生だし」


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