第67章 躍進
一番抗いたいのは…消された皆の魂と同じ時を共に生きた、私だ。
同じ記憶を持っていても、共に過ごした魂の波長も、反応も、忘れられるはずもない。
同じようで、全てが同じという訳じゃない。時を共にしていないのだから…
だから……信じる以外の道はない………
どうにも私は…馬鹿なままのようだ……
彼が地獄落ちになることが要因で、世界が消える。
私とフィン以外の魂が全て消され、強制的に泣き別れとなってしまう。
そんな地獄を何度も遭わされ続けてきたというのに…何度馬鹿を見ても、信じたくなるのが親心とでも言うのだろうか…
あんな、実父とは違うと…そう思いたいのかもしれない。
独り善がりだと一番わかっているのは自分だというのに…
そのまま(人殺し)でいられる人間ではないと、思いたい。
僅かでも状況や環境、歯車が一つでも違えば地獄落ち回避は叶わないというのに…馬鹿だよな……
それでも…信じたいんだ……
私が力で強制的に変えさせようとしなくても、わかってくれると…
所詮、ここでは…ほんの一時だけの付き合いだったが……
いや…誰が相手でも信じたろうな…
どんなに裏切られようが、殺されようが…それが要因で、故郷も何もかもを喪うことになっても……
それが…私だ……
私である――『証(あかし)』なのだから
ケイト「それでいいかな…?
皆(実母、実姉、父母妹)」
実は私は…お母さん(実母)と結婚すると言い出すぐらい好きだった。
同じく霊感があって、通ずるものがあったから…
遠くの空…青空の先で、何かが頷いている感覚がした。
ケイト「ありがとう…
信じたのなら…もう、迷う必要はないよな。
信じて…これからは、己の為すべきことに集中しよう。
もう…やれる手は、全て尽くしたのだから……
来れる前提で旅行券も送ったし」←2692ページ参照
そう…フィンを連れて帰った後
各エリアにある世界樹とわかった木の天辺で手入れをしながら、空を見やったまま独り言ちた。
と言うのも…
埋めた後、あっという間に我が家のと同じ背まで伸び
手付かずの訳にもいかないので、枝を切れる私とフィンが手分けして手入れすることになってしまった。
だが、この時…私はまだ知らなかった。
知る由もなかった…
世界樹の実による被害への、大いなる誤算を……