第67章 躍進
「心根がどれほど優しかろうと、それで許される問題など何一つとしてない。
怒り任せに殺す事案に関しては
殺すことに起因する出来事が、大事なものが殺された事態であった場合…
その「殺された大事なもの」が、仇討ちに走ったものとの付き合いの深さ、互いへ抱く想いの深さ、互いに想い合う心、それらが重ければ重いほど減刑される。
更に…反省し、罪を償うべきと自ら考え、殺すべからずと常々気を付けているほど、減刑は増す。
大事であればあるほど殺された際に暴走しやすい。
が、彼のはそれとは全くの別。
たった一日足らず。深くも何ともない。
そればかりか数多に繰り返すばかりにとどまらず、力のみ使役し利用するばかり。
そんな存在など許すわけにはいかぬ」
「他の人だって!」
「裁かれておるわ」
「!!」
「皆…別の形でな。
だが彼のみ一切なかった。
一切合切全て…
それも、皆を巧みに味方へと利用し切って、物(異論)言わぬ盾としてな。
揃いも揃って、同じことしか言えぬものばかりになるようにしおった。
一柱の神の寵愛を逆手にとってな。
意図せずとも…これまでの歴史上これ以上ない重罪よ……」
「ボロクソに言ってでも?;」
「そもそもがあれでは間違いに気付かぬまま助長させる恐れしかない。
流石、ご立派、優しい、我等こそが正義。その思い込みにこそ『悪』が宿る。
仕返しと言えど、先にされたと言えど、その「されたもの」の度を越せば、過度にし返せば、心まで痛め付け無視し続ければ、『害悪』となるのは必至。
それすらもわからぬようにまでなり下がったか?始祖神よ…」睨視
「いや理屈はわかるんだけれども…
私やフィンを巻き込んでまでやること!?」
「そうだ。
せねば…世界全体の均衡にまで及ぶ!」
「その魂を生んだのは、そっちでしょうが!!」
「だから済まぬと言っておる!
やれることはやる!見ておれ!!」
「皆の記憶と想い出返せええええええ」ギャン泣き
で、結果…『彼が元からいない世界』へ送られる際、懇意にしていた皆との記憶を『世界』の皆と共有して、ようやく事なきを得たんだ……
彼に関する記憶が全て、決して現れないようにした上で」
リヴェリア「酷いな;」
フィン「だろう?;」
ケイト「でも…あれだけが、何よりの朗報だったよ…;
皆を、もう…喪わないで済むから;;」