第67章 躍進
ケイト「私は…生き残った。
…もし自殺していたら…あいつらに、人殺しの罪を背負わせることになる。
そう思っていた…
だから…人殺しと呼びたくないから、した。
だが…違った。
自殺していようが、していまいが、その罪は等しく、背負わされていた。
『人殺し』という罪として――…
だからこその、地獄落ちという裁きであり、神々があいつらへ与える咎だった。
だから…どう在っても、どうしようとしても、変えられなかったんだ。
あいつらも…彼も…根本的な所は、同じだったのかもしれない。
人の為に、人のことを考えてのブレーキなんて、絶対踏まない。
より良い方へ、せめて…負担が少ない方へ…いくら考えた所で、泣き叫んだ所で、助けたいと願って、動いた所で…動かそうと、後の幸せを祈った所で…
あいつらは、あいつらの勝手にしかとらえはしない。動きもしない。
いくら励もうとも…全て……
根本が…人の幸せを願えない、人殺しでしかないことには……
そう思う私も…私なのかもしれない。
でも、神石も、アルも、ディも、フィンまでも…「君は、人の罪まで負い過ぎだ。人の責まで、己の責として感じ過ぎなんだ。そう自分を追い詰めるな」と言ってくる。
私は…それを鵜呑みにはできない。防げる部類までは防ぎたい。
幸せを願っているからこそ、やめたくない。されたことが無かったからこそ…せずにはいられない。
でもそれも…押し付けなのかもしれない。本人が願ってないのなら、祈るだけにしてきたけれど…
私は…伸ばされる手を、振り払って…逃げ出した人間だ。
頼ることを知らなかった。人は、闇以外何も知らなかった。
頼って、何かされることの方が余程恐かった。喪うのが一番怖かった。
異質なものを見るような目を、懐疑的な目を向けられるのが嫌だった。
人から向けられる全てが、嫌で、歪で、ただただ――こわかった
それでも…力になりたいから、助けたいから、走った。踏み止まれたんだ。
幸せなんてなかったから…自分を殺すことを、自ら選んだ…自らの死こそが何よりの救いだったんだ。
盲目になっていただけだと、後に気付いた。
5人にも愛情はあった、0ではなかった。それ以外は0だったが…今は違う、ここにいると気付けた。
皆、歪んだ目を持っている。各々の常識に根付いた偏見を)
ウル――」