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Unlimited【ダンまち】

第67章 躍進





安堵し、目に涙を浮かべながら、俯いた。

そのケイトを前に、僕はそっと頭を撫でた。
左手で身を抱き寄せながら、大丈夫だと言い放つ。


ケイト「うん…もう、大丈夫だよね。

私は…出来ることなら…同じ被害者を無にしたい。

そういう意味で…傷付けたくないと言ったんだ。
敵という立場を無くしたいとも…


私は…無力だった…

誰も助けてくれなかった。嘘だと言われるだけだった。
誰も信じてくれない。いくら示しても、自分達さえ幸せなら笑っていられる。

そういう環境の中にしかいなかった。どれだけ泣き叫んでも無駄だった。
泣き叫んでいたことが知られれば、DVの苛烈さが増すだけだった。

ただでさえ…母も余裕が無くてヒステリックで…姉も余裕が無くて一杯一杯で…日々日々、擦り切れる思いだった。

安心できた時なんて…母と姉と、一緒に遊んでる時ぐらい。
それも、非常に限られてる…極めて短い時間だけ…あった。

それに、やっと気付けた。思い出せた。


お母さんも、姉ちゃんも、お父さんも、お母さんも、シルキーも…大事な、拠り所となってくれた人達だ。
結局…殺されてしまったけれど……

もう二度と、喪う思いを味わって欲しくない。あんな思いを、味わって欲しくない。
殺されるような、そんな世の中にしたくはない。後手後手に回って、奪われてから泣き叫ぶなんて社会にしたくない…

だから…やられる前に、そういう人達を無にしなければと……躍起に、なりかけていた。


フィンがさ…方便のつもりで過ぎたるはって言ったのも、薄々わかってる。

本当は…そういうのをしていい正義なんて、一つとしてないって。
そう理解しているけれど、まだしていないのだから…していない罪を裁けない。する直前で現行犯として逮捕すべきだってことなんだろうなって。


わかってるんだけどさ…私には……(ぐしゃ)←右手で前髪を握り締める

私はっ…あんな思い…欠片ほども、知って欲しくないよ(涙ぼろぼろ)


誰にも…知って欲しくないんだ…

でも…人は、平気でそんなことをする。そんな振りをしておいて、善人面する。何を信じたらいいのかもわからなくなる。
そんな世の中でしかないことは、人の闇がどれだけ濃いのかだってわかってる。

わかってるんだよ…それでも…そういう人ばかりでないから…どっちを信じたらいいのかさえもっ」嗚咽


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