第67章 躍進
ケイト「私が少し間違っていると言ったのは…そこなんだ。
復興と言っても…誰しも、どこかしら、負い目を感じる人もいる。
自分を下だと見て、俯き、自ら喪うものこそ数多くいる。
それを無にするのは非常に難しい。私一人では無理だ。
救うのが、私では無理な人が必ず存在する。
だから…他の人が、他の誰かに手を差し伸べるように促した」
フィン「なるほど…
小人族だけでなく、他種族が小人族にまで手を差し伸べていたのはそれでか…」
ケイト「ああ。明日は我が身…
人を蔑ろにすればする分だけ、陥れようとすればするだけ、罪を擦り付けようとするだけ、それはそのまま返ってくる。
真実か否かは、市民カードが示す。人の罪が明白になるよう、白日のもととなるよう、出来るようにもしてある。
だからこそ…身を守る機能がある。どんなことをされようとも命も心も守り抜くように」
フィン「そうか…
つまり…悪は決していなくならない。
必要悪とは言っても、わざと意図的に人を下に落とすことで優越感に浸る連中もいる。
保身に走り、犯した罪を無関係のその場に居合わせた人に擦り付け、証明できないのをいいことに貶め、のうのうと自分だけ安全圏に立って高見の見物を決め込み、嘲笑う。
得心が行ったよ…そんな人物がいる限り、俯く人はいなくはならない。取り締まらなければ増えてゆくばかりだ。
君が目指す復興とは…それ(被害者)を無にすることか」
ケイト「ああ…躓いたり、そういうのだったら『まだ』いい。
だが…他人が、意図的に操作し、笑うそれだけはダメだ。
それで俯くのと、壁にぶつかり挫折して躓き俯くのとでは、天と地ほど深く差がある。
人間不信を伴うそれでは…生涯に渡り苦しめる障害となる。
人としては比類なき重罪で…死を味合わせるに値する(真剣)
私が目指す社会では…そういう人種は必要ない。在ってはならない。寧ろ等しく死ねとすら思う」
フィン「つまり…人災を無にすること、か」
ケイト「ああ…だから、人権を与えていない。国民以外には…
だからと言って、どうこうする奴は国民にはなれないからね。
安心して取り組めるという訳だ…
私の望みは…人災を人に振り撒いて与えて笑う『悪魔』という人種を、完全に無にし、撲滅することだ」真剣
フィン「「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という言葉を知ってるかい?」