第67章 躍進
フィン「僕は『小人族(パルゥム)』として自分を台頭に『小人族の旗頭』になろうと考えていた。
が、それではただ一瞬の栄光にしかなり得ない。
永らく一族を栄光させる為には後継者が必須と考えた僕は、「勇気」を持つ女性を探し求婚しようとしていた。←274ページ参照
だが…君を見ていて、その考えは浅はかだったことを痛感したよ。
・世界を救う『実績』
・「小人族の誰もが出来ること」、「世界を救う戦いでも用いた手法」の『提示と教え』
その双方が揃わなければ変えようもなかった。一族全体の意識なんて特に…
ケイトがなったのは…旗頭でなく、旗印…
人としての本分を見失うなという、大きな旗印だった。
それが大きく、一族を…一族だけでなく、世界までをも在り方を大きく変えた。
だからこそ…ああ言った。
『魔力集中による身体強化で最も優位ということが証明され、小人族の復興は成した。
今後も続いていくだろうし…きっと、勇気を、希望を見失うなという旗印となってくれるだろう。僕達の子孫が…』←2997ページ参照
後は…築き上げられた熱を冷まさせないように、確固たる確実無比なものとなるように、打ち立て盛り立てていくだけだ」
ケイト「それって、少し間違ってる気がする」
フィン「?一体どこが?」
ケイト「変わろうと思ったのは…一族の人達だよ」
フィン「うん?ああ、そうだが…
一体どこが間違いで?」
ケイト「その中でも、まだまだ一部の人達だよ。
未だ搾取される人はいる。
質実剛健な人は増えた。でもそれはまだほんの一部の過ぎない。
全体が完全に変わった訳でもなければ、被害者が0になった訳でもない。
一族の復興はなされたと言っても…今後、同じように下を向く人だって出てくる。
私のしたことは…完璧ではない。完璧なものなど、一つとしてない。
助けようとするもの、それをそのままにしておけないもの、それらを最低でも8割にしないと無理だ。
ただでさえ人は、己がどれだけ他人に迷惑をかけ、他人に気遣って助けてもらってるか、知らないことが多い。
そして…その存在の重さは、喪ってからしか気付けないものが非常に多い。
喪わなければ、喪う経験をしなければ、絶対にわからない。
想像の域では…わかり得ない」真剣
フィン「そうだね…喪う経験をしても懲りない人もいる」