第67章 躍進
「フィンがいてくれなければ、今の私はいなかった」
違う…(ずきっ)
「そもそも…命を落としてた」
違うんだ…!
「フィンが救ってくれたんだ」
やめてくれ――!!
気付けば…悲鳴のような叫びが喉から出ていた。
「!!」
僕はそんな高尚な人間じゃない!!!
もっとずる賢くて、勝手で…欲深くて…野望しか見れなかった!
肝心なことに気付けなかった人間だ!!
何が光だ…!何がフィアナだ!!僕は…っ――何も叶えてなどはいない!!!
ぱぁん!!!!
「それは…これまでのお前を否定する言葉だ。
たとえお前でも許さない!」
ジンジンと叩かれた頬が痛む…涼しい風が、痛みを掻き立てる。
君には…わからない。わかるはずもない!!(ギリッ!)
「ああ、わからないよ!
だって…教えてもらってない!」
!
「何も言わないまま伝わる訳ないだろ!?
吐き出したいだけ吐き出せ!!でなきゃ伝わるもんか!」
…(瞠目)
「責任感が強過ぎるんだよ!!そりゃ団長って立場上、それが長かったから余計なのかもしれない!でも…
何も感じないなんて訳ないだろ!!?」
ああ――本当に君は…(じわっ)←涙で視界が滲む
僕の欲しい言葉ばかりくれる…
たとえ嫉妬から来る感情だとしても…僕は……それすらも愛しく感じる。
抱き締め…ぽつりぽつりと自身の中の醜い感情を全て語り、俯いた。
「気持ちは分かった。
でも、敢えて言う!
私を介して叶えたぐらい言ってみろ!!」
自身の胸に左手の親指を突き立てながら言い、続けた。
「今の私は、お前がいたからこその私だ!
お前が変えたんだ!お前がいなきゃ変わらなかったんだ!
お前がいて、アイズがいて、皆がいて、一人として欠かさずロキ・ファミリアとして、家族として居させてくれた!!私を置いてくれた!
ロキ・ファミリア最初の団員、団長のお前がいなきゃ…お前がやってきたこれまでがなきゃ、為し得るはずがないだろ!!?
私は…フィンがいなきゃ、死ぬ!!!(涙目)
だから…そんなこと言うな!!(ぽとっ)
私の一番大事な人を、頑張ってきた道を、一族の光の為に全て捧げてきた時間を、そんな風に言うな!!!!」号泣
今度こそ…泣き崩れた。
共に滂沱の涙を流し、謝り合い、感謝し合った。
大事で、大好きで堪らない、欠かせない人に――