第67章 躍進
ケイト「……(つー)←溢れた涙が頬を伝い落ちる
…ぁ…(ぼろぼろ)←息を飲み涙が零れ落ちていく
っ……(ぐすっ)
っぅ…」
鼻水をすすりながら嗚咽を上げて泣きじゃくる様子を見て…やはり無理をしていたことに気付いた。
えらく気を張っているのが目に見えた。
しっかりしていないと、と自分を戒めているようで…押し殺していたようにも見えた。
ケイト「ぅぁぁぁぁぁぁああああっ;;」ぼろぼろ
号泣しながら胸に縋りつき、滂沱の涙を零していた。
本当にしたいことではない。
そう、痛切に訴えかけていた。
人を否定すること、拒絶すること、それ自体がケイトにとってはタブーだ。
だが、そうでもしなければ国民を守れないという現実。
それに直面した結果、是が非でも守り抜く為に決断して戦うことを決めた。
全てを敵に回してでも守り抜くと決めた。
しかしその本懐は…裏では、その者達の幸せすら願っていた。
傷以外与えられなかった相手だとしても…不幸や、痛みに苦しむ様を、幸せとは思えない。
持って生まれた感性、感覚が悲鳴を上げていた。
それを見て見ぬ振りをした。長年のそれですっかり麻痺していたのもあるのだろう。
正確には、気付かなかっただけかもしれない。だが…
国を負うことで、君を失くして欲しくなかった。
ケイト「っく…えっぐ;」
嗚咽を上げ、しゃっくりが止まらぬ背を僕は撫でた。
胸に縋りつき、背に両腕を回してなお咽び泣くケイトに…
僕も背に両腕を回し、再び抱き寄せて頭と背を撫でた。
フィン「…もう……殺さないでやってくれ…
君を、君自身を…
本当に、僕達も、君も、大事にすると願うのなら……」
ケイト「ひぐ;」こくこく
激しく頷くケイトに、僕も頷いた。
フィン「本当にやりたいことを貫くのは、とても難しい。
でも…君は、出来る世の中を、国を作ってくれた。
補い合う、新たな形態を…
そのことに、僕も、国民も、皆…感謝している。
いなくていい意思などないと、必ず耳を傾けて、真剣に考えてくれる君だから…
だから、君についていかないという選択肢はない。
君を選んだのは…国民であり、皆の総意だということをどうか忘れないで欲しい。
その君が、君であることを忘れてしまえば、在り方は傾く。
君の本当にやりたいことを、見つけて、大いにやってくれ」