第11章 雪と真相
何も知らない人を行動だけで決めつけるのはいかがなものかと。
彼女のそれは人殺しでも物理的に傷を付けて笑う人でもない。
それでもなお悪者と罵るのは人として…
が、すぐに穴に気付いた。
いや、言った所で聞き入れようともしないのだから無理か。手紙も禁止にしていたわけだし。
不干渉が僕の出した友好条件だった。もし会うことがあればそれとなく伝えるぐらいでいいだろう。
ただ、「街の人達自身はその偏見を決して撤回はしないだろう。」
その記述がケイトが書かれた英雄譚にあった。
有名人になるか、友ができるか、理解者ができるか…それだけで悪者なのはあちらの方だとなる。
人を罵るということは、その人を想う人達まで敵に回すことだと
いや…これらは言われずとも考えればすぐわかることだ。
……いずれにせよ、気にしていても仕方ないか。
過去よりも前を向いて、失態ならばそれを生かすように、過去に囚われるな。
それだけ、ケイトに伝えておこう。アミッドの件も聞いた後で。
そう決めた頃合いに、叫び声が響き渡った。
『うぎゃあああああああああああ』
どっしゃああああああああああ
朝っぱらから執務室に集められてケイトの出自について説明されたわけだが、隣がやけに騒がしいな。
そう思いながら窓から光景を眺めることにした。
その先に居たのはドンで、木の上で飛び跳ねて雪を叩き下ろしていた所だった。
ケイト「こら、ドン!やめy
どしゃあああ
木の上の雪が次々に落ちていく中、ケイトは強硬手段に走った。
ケイト「おら雪玉だあああ」びゅっ
ぱしゃ
ドン「きゅ!?」
ケイト「よっと」ぱしっ
ナイスキャッチ。
目の近くに雪玉を当てて落下させ、ケイトはしっかりと受け止めた。
どうやら雪合戦の最中にドンがおいたをしたようだね。
参加できず、構ってくれなかったのが寂しかったのかな?
そう見つめながら思いを馳せた後、それから仕事に目を向けることにした。