第11章 雪と真相
彼女の本質は、例の事件で否が応でもわかったはずだ。
それでもなお化け物と罵って攻撃し、罵詈雑言を吹きかけることは変わらなかったが…
最終的には土下座で赦してくれと懇願してきた。
見切りを付けるのは…少し早かったかもしれない。そう考え直した。
対話して、言い聞かせて行こう。
彼女のそれの中で気に入らないことはあるかもしれない。
それでも…それに救われている人もまた、ここ(オラリオ)にはたくさんいるということを。
たとえ認められずとも、悪い人間でも非情な人間でもない。
彼女の環境が故にできない行為もある。それは誰しもが持っているものだ。
彼等の気に入らないというのは、そのできない行為によって抱いた偏見に他ならない。
それを人に押し付け、広めるのはやめて欲しい。看過する所ではない。
自分の非は見ず、人の非だけを見て懸命に広めようと口を開き続ける。
はっきり言って、その行動自体が悪者のようにしか感じられない。
そもそも見ていて気分が悪いし、醜いことこの上ない。
人の非を認める割には、自分の非は認めない。
その姿勢もまた、悪人の象徴と言えるだろう。
黙ったまま受け入れ続けてきたケイトとは対極にあるとも言える。
第一…彼女の家庭環境を知る者はいなかった。
生みの父親から殺されかけて育ったことも、ただでさえたくさんの傷を一人で抱え込んでいたことも。←リアルでも実話
知った風な口で、その人だけが知っている抱いている表面上の情報だけで罵り、周囲にまで思わせて偏見を抱かせ続けるのはやめてくれ。と…
せめてそこまでは訴えた方がいいだろうか。
そう考えながら紙に書き記し、僕はケイトのそれを見て抱いた考えを纏めた。
誤解だと主張するよりは、そちらの方が説得力もあるはずだ。
そう考えたのだが…本当に、騒がしい朝だね^^;
歓声と雪玉が窓にまで飛んでくる中、僕は思わず笑った。
執務室の中で残された僕らは、その件について話し合い同じ結論へと至った。