第66章 穢れ
その人も生きている。
別の家庭で、その人にしか知らない苦しみや悲しみを抱えて生きている。
だから…自分で追い詰めてしまい兼ねない真似だけはしたくないって思った。
愚痴をぶつけて、発散道具として利用して…そんな人と、そんな人達と、同じになりたくなかった。
主張するだけ主張して、どう思うか、それを受けてどれだけ辛いのかなんて考えないで…それぐらいいっぱいいっぱいな人に、振り回され続けてきたから……
自分のそれなんて…何なのかすらも、わからないぐらいに……
今だからこそ…こうして話すことは、悪ではないと…お前達相手ならば思える」ふっ←微笑し瞳に光が宿る
『!』
いつもの表情に驚きながらも安心し、頬が緩んだ。
それも束の間…再び瞬く間に闇が宿った。
ケイト「でも…だからこそ、この学びを得た。
傷付ける行為も、殺す行為も、本人の自己満足にしか過ぎない。
更なる厄災しか呼ばない。
いずれにせよ、人からでもなんでも災厄は与えられるものだ。
されればやり返していい?
やり返す行為をいくらしても、行為そのものは悪ではない?
まず大前提から間違えている!
力を振るうでも、言葉でも、言動でも、何であっても
人の気持ちを考えないもの(在り方)が、正義であってたまるかああああ!!!
どうしても必要なら仕方ない。
けれど…痛まないそれが、あっていいはずがないだろう!
されたそれによる痛みを軽視すれば、そんな事態は山ほど増える!」
それらの言葉を受け、僕は整理した。
フィン「なるほど。
嫌な気持ちになってないかな、と一々気にし過ぎてしまうのは優しさの裏返し。
相手が求めてもいないのに踏みいるのはと遠慮するのも、相手を想うが故。
知っているからこそ、何か力になりたい時、しっかり伝えて何をして欲しいか叶えようとする。
逆に知らない人には自ら話してくれるまで待つ。
だが…ケイトのように「巻き込むわけにはいかない。それで傷付いてしまったら申し訳が立たない」と考える人もいる。
相手を想い過ぎるが故に…純粋過ぎるが故に…
関わる相手、傷付けてくる相手、何をするにおいても相手のことを何も考えないことは、悪だと言っても過言ではない。
もしそれをしてしまえば反感しか買わず、得られるのは更なる厄災のみ。
だからこそ両者共に円満にする為に、ということか」