第66章 穢れ
フレイヤ「掃き溜めに鶴ね…」
オッタル「しかし…本当によかったのですか?フレイヤ様」
フレイヤ「あら?何のことかしら?^^」ふふっ
オッタル「……
(神の力は使用してはいない…だが……」
一瞬、訝し気な目を向けたオッタルだったが…
視線を逸らし、市民カードを通して伝わってくるケイトの想いへ目を向けていた。
皆の想いを、それを受けて思った言葉を、実際にかけられたことのある言葉が思い浮かんだのは…それが要因だった。
フレイヤ「ふふっ。実は、ちょっとした伝手があるの。
それで…彼女が、ちゃんと生きれるようにして欲しいなって言ったのよ。
そうしたら…いずれ、時は満ちると言っていたの。
悪夢をわざと見せるなんて悪趣味な真似はしないわ。どうせなら幸せな夢を見て欲しいもの」
オッタル「……そうですか……
(乗り越えてみせろ…【無限飛躍(アンリミテッド)】(ケイト)。
そして…真の強者となって、戻ってこい!」
自分の為に戦うことを知ったのは、戻りたいが為に、個人の理由で『人』と戦ったのは…最初にも最後にも、オッタルとの死闘の時のみ。←212~217ページ参照
オッタル(俺が唯一認めた、宿命のライバルよ――!!)
オッタルがケイトを認めた理由…それは、高みを越える為。
今ある己という高みを越え、更なる境地へと辿り着く為。
ライバルとして、高みを目指す同志として、共に居ることを望んだ。
フレイヤ様を守る同志として…
この重婚関係は、ただの夫婦ではない。
夫婦であれば、より身近に、戦える機会もまた増える。
また守れる機会も増える。守れる可能性も遥かに上がる。
早い話が、ケイトの重婚相手となることは、オッタルにとっては破格の条件だったのだ。
ケイト「………」
いじめっ子「………世界を…敵に回してでも、か」
ケイト「ああ…
私は、私として、生きて、死ぬ。守って。
最後まで、戦ってでも――!」
いじめっ子「…ちっ…
(これでも無理やりやったら…)とんだ悪者だ。
そっちはそっちで勝手にやってろ。不満を抱く者も居るのを忘れるな」
ケイト「忘れない…
とっくに昔から、知っている。
それでも…譲らない。譲らないと決めた、場所だから」
いじめっ子「……勝手にしろ」ふいっ
そう、背を向けて去り…夢から、昼寝から覚めた。