第11章 雪と真相
フィン「あれだけ人に拒絶されてもなお必死に護ろうとする様は、はっきり言って異常だ。
異常過ぎるほどの人を想いやろうとする心。
そしてクリエイトという魔法…
ロキ、『神の因子』とは…一体なんだ?
大神ゼウスから受け継いだのはそれだけなのかい?」
ロキ「………そうやなあ。
神の因子って言うのは…神の子となる上で神の力だけは受け継がさへん代わりに宿すものや。
元々小心者というか優し過ぎる性格を持っとるケイトは、あいつにそっくりやった。
…勇者アルルェーチェにな。
決定打となったのが、ケイトの魂の道筋を読み取ったあの時や。
神の力を使ってはいけないという禁忌を破ったら天界送りや。
でも、うちがやったんは魂に直接触れたというだけ。
神の力を使わんでも、それだけで覗き見れるからそれ限定ならできるんや。
と言っても制限があってな。たくさんの未来の内の一つしか見えへんねや。
だから…確実なことは何も言えん」きっぱり
フィン「そうか…」
ロキ「龍神のそれによって得たんは龍の力と、加護だけや。
意思を叫び、魂の力を引き出し、龍として顕現させる。
口で言えばそれだけやけど、非常に強力や」
リヴェリア「知っている。戦ったこともあるからな」
ロキ「ちゃうちゃう。強竜なんて次元超えとる。
ただ…加護でケイトの身を守ろうとしとるのだけはわかっとる。
4日後か…その遠征で、とんでもない危険が待っとるかもしれん。
あのはしゃぎっぷりも…うちにはどうにも虚栄のように感じるんや」
『………』
レフィーヤ「キャー!!」
ケイト「ちょっとドン、危な、わあああああああ!!;」
どっしゃああああ
遠くで響く声を聞きながら、考え込んだ。
リヴェリア「…考え過ぎではないか?」
ロキ「いや…あいつは今、不安と戦っとる。
現に今、後悔せんよう必死に動き続けとる。
神の因子だけやない。精霊寵愛の回復は魔力がもとになっとる。
例の強化種に…狙われる可能性が極めて高い。
そやからなあ…不安にさせる気はないんやけど、護ってやってくれ。頼むわ」ぺこり
そう言いながら頭を下げてきた。
いつものノリとは違って、真剣に頼み込んでくるロキに僕らは思わず顔を見合わせた。