第65章 新たな冒険
ケイト『祖父母はお金を与えない人だと、相手が孫だろうが子だろうが尽くしたり助けようと動かない人だと。
そう言っていた。実際そうだった。
すぐ上、2階で殺されかける惨状が拡がってても
リアルと同じ魂で、同じ人格を有していた。
そりゃそうだよな…誰だって自分の命が一番大事だ。
孫でも子でも何でも犠牲にしてでも生きようとする奴等だった…
ただでさえ…主導権を父に握られ、次に母、姉…私に回ってくることは延々なかった。
最近になってやっと得たばかりなんだから…
家でも、どこでも、いつでも、話せる時間なんて無いままだった。感情の発露も…
元気に見せかける笑顔しか…何もかもできなかった。
そうなれば学費も生活費も何もかもが回らなくなると。
母はヒステリックに当たるようになった。
父からのDVによる洗脳らしい。戦った。
言葉に、声に、いつまでも出来ない激情の末、7歳に初めて犯されて、無力感と絶望以外何も無くて…
そんな小さい頃…自分で押し込めて、押し殺すことでしか…守れなかった。
周りに頼れば何をしでかすかわからない。
傷付いていい人なんて…家も、外も、一人も居なかった。
誰にも話せず、当たれず、愚痴すらも出来ない。
八方塞がりになった。
その時…蔑ろに出来るものが、あった。見つけたんだ。
あった――
たった一つだけ――
それが…――自分だった
自分一人だけを闇へと突き飛ばし…
自分でも只管殴り、罵倒し、傷付け、それを楽しいと思い込むことで笑った。
感情が話せない現状に堪えられないぐらいになったら、それを楽しみとして行うことで…やっと、ようやく……
それさえ出来るようになったら…後は簡単だった。
簡単に、自分を保つことが出来るようになった。
嫌ってくれていた方が都合がよかった。
その分自分に当たれるから、自分を保てるから…
諍いが苦手で、誤解だろうが…そのままでよかった。
そのまま『が』よかったんだ。
全て……自分で…選んだんだ。
私は…守ると決めたんだ。
その為に…自分に当たる。いくらでも投げ出す。媚びない。寧ろ進んで傷付ける。
でなければ…大事な人を作ってしまえば、理解者ができてしまえば、その人が不幸になる。
それも…恐れていたんだと思う』