第65章 新たな冒険

ギャーギャー！！

変な風に盛り上がるそれをよそに、気持ちよさそうに眠り続けるケイトでした…



その頃、夢の中でケイトはあることに気付いた。


ケイトが、己ばかりを軽視するようになった。

その最初の原点を…



『寛容過ぎる』
『律儀にも程がある』
『そんなにシャカリキにならなくても』

ケイト『……口を開いてしまえば、気を許してしまえば、また父から殺されかける。
アザができないよう、証拠が残らないよう、うまく傷付け追い詰め続ける天才だった。
ただメガネが飛んだ時は我を忘れてなのか、アザが残ったけど』


『理解者を増やすよう努力したら』
『そうそう！
ちゃんと話せばいいだけだよ。わかってくれるはず！』
ケイト『それは利用になっちゃうからやだ。

それに…相手が幸せになれない。
巻き込む時点で、必ず傷を負うことになってしまう。

口を開くことも、反応することも、難しくなっていた』

『それはなんで？』


ケイト『誰かに助けを求めてしまいそうで言えなかった。
言うことそのものが、恐怖の対象となった。

授業や質問しないといけない時以外は声が出なかった。

死以外希望とは映らなかった。
でも助けを求めてしまえば誰かを巻き込むことになる。

同じ想いをさせてしまう…それが、一番怖いんだ。


正義と掲げれば何をしていいとは思えなかった。

戦国時代の時、仇を打つのが当たり前だった。でも出来なかった。
同じ思いをする人を、いたずらに増やすだけだから。
だから…仕返しを、正義だとは思えなかったんだ。

助けを求めることも、悲鳴をあげることも、さ…
自然と、できなくなっていったんだ。

先のことを考えても、していいことではない。
そう思ったら、何も出来なかった。皆ができることまでできなくなっていることに、できないことが増えていってることに、気付けないぐらい、いっぱいいっぱいだった。

でも受け入れるしかできないと思った。無抵抗で』
『どこのガンジーですか；』

ケイト『あはは…
仕返しなんて…した所で、何も得ないよ…

得るのは…血に濡れた手と、満足感…憎しみや恨み、負の感情だけさ。


誰かに話せばいいだけだった。
それだけで助かるかもしれなかった。

だが母は言った。
そうなれば…そうしてしまえば…たとえ助かったとしても、先がないと』

『？何で？』