第65章 新たな冒険
フィンの神の力は、主の願いを叶える為…如何無くケイトへと染み込んでいった。
現実では出来ないことを自覚してからか…
切なそうに表情を歪めながら…
背と後ろ頭に手を添えながら、抱き締める力を強めながら……
フィン「本当に…僕のせいではないのか?」曇り顔
フィアナ「当然です。
第一、あなたは壊れ物を扱うように優しくしていたじゃないですか。
父のそれを払拭する為にした性行為が原因ではないとわかっていますし断言できます。医者も言ってたでしょう」
アスフィ「責任を感じていたのですね;」
フィン「まあ…そういうことをした手前ね;
どうしても…心配になる」心配げに腕の中のケイトを見つめる
ノアール「気にしないで大丈夫よ。
あなたも、ケイトも…
どちらも、人へ悪意を持って害を与えたりはしない。
それはちゃんと…皆、わかっていますから」
フィン「そうか…ケイトにも伝えたいね」微笑
やっと安心したように笑うフィンに、ケイトもつられたように笑った。
フィアナ「伝わっているわ…
今、あなたの神の力でね^^」
フィン「…ケイト…噂にも、そういう情報にも、それを振り撒く相手にも…もう、振り回される必要はないんだ。
過去は変えられないかもしれない。決して変わらないだろう。
だが…それとどう向き合うか、君は…知っているだろう?
当時の傷や置かれていた境遇から謝罪を言えずとも…二度と繰り返さないことで、償い続けていることも。
だから…それを無視して振り撒く輩に、これ以上振り回される必要はない。
君は十分、尽くしたよ。
いい加減、前を向いて…今度は自分に尽くす番だ。
愛している。
君を…君だけを……
それまでの『選択』も、『愛』も…どれほど歪められようと愚直に傷付けまいと示し続ける『信念』も。
その全部が僕は好きなんだ。
頼むから…独りだなんて思わないでくれ。
自分から一人だと、自分を追い込まないでくれ。
僕にとっては…それが、何よりも痛い」
涙を滲ませながら諭すように語りかけるそれに…彼の涙がケイトの頬へ落ちた。
同時に…ケイトもまた、その温もりに接してか…愛を受けてか…
安心したようにやっと一粒…涙が流れ、落ちていった。
それは次第に数を増していき、双眸からも零れ落ちていく…
それまでが全て報われたように――