第65章 新たな冒険
トール「はい!」
校長「経緯ある出来ないことに対して、出来るのが当然とされるのは…辛かろう?」
トール「はい」
校長「言われるのもまた同じく辛い。
だから…言及するべからずという文がある。
傷付くからの、出来ない要因となる過去、そのフラッシュバックまで起こしかねん。
そこまで思い至らねば、真に大事には出来ん。
何が人を傷付けるかもわからない。
辛抱強く付き合っていくしかない。
何より人は、一人では生きていけん。
共存の為にも、要らぬ諍いや不穏の種は除いておくに限る。
わかるかな?」
トール「はい!」
校長「口から放った言葉で…人を傷付けることもあるだろう。
だがそれは話中の1人とは限らない。数多のものを傷付けることにも繋がる。
同じくされたからしていいとすれば、延々と傷付け続ける行為が山のように連なり続けて行くだろう。
だからこそ…法があり、取り締まるべきとされる。
力も、言葉も、刃も、同じじゃ…
使いようによっては殺すこともできる、容易く傷付けてしまう。
そこに気付き、どう在れば守れるか。そこに重きを置くこと。そこがみそじゃ」
トール「ふむふむ」メモメモ
校長「身に付けるのが社会に出てからでは遅い。
学ぶ為に、学舎(まなびや)がある。
社会に出るまでに、合わない人との向き合い方、譲れない際の折り合いの付け方、違う個と見る流し方を身に付けなさい」
トール「はい!頑張ります!」
校長「所で…最悪な環境に置かれ続けた種。
最適な環境でのびのび甘やかされてきた種。
どちらが成長が早いかな?」
トール「それは…後者です!」
校長「それは何故かな?」
トール「ええと…種の置かれた環境の違いです。
いい環境だから、伸びやすいです」
校長「うむ。その通りじゃ」
トール「やった!」
校長「種におかれた環境で、成長は皆違う。
その家庭環境もまた皆違う。
常識も価値観も、重きを置く所も、皆違う。
その違いを違いと認められなければ何が起こる?」
トール「……いじめ?」
校長「うむ。
だから…他を受け入れる器の成長が必要じゃ。
いじめはそうして生まれる。
他との違いを受け入れられない、という差別からな。
迫害という形で…人を殺す。
早い話が…他を、ありのままの個性までをも好きに殺す、殺戮者」