第10章 準備と発明
ケイト「へえ~(アスフィお姉ちゃんの所の神様か」
フィン「そう言えば聞こうと思っていたんだけど…
何で君は、ここのファミリアに入ることを拒否しなかったんだい?」
ケイト「え?」
フィン「なに。君のことが嫌になったとかそういう意味じゃない。
ただ一つだけ気になっていたんだ。
何故入団が確定となる誘われた時、それに対して頷いたのか」←49ページ参照
ケイト「…雰囲気が似ていたからだと思う」
フィン「?何と?」
ケイト「育ての家族と似てた。
雰囲気も温かさも…心地よさまでもが、とても似ていたんだ。
記憶を失ってたはずだった…
それでも多分、求めていたんだと思う。心から居たいと望む場所を。
だから…ここに決めたんだ。自分の意思で」
フィン「そうか…それだけ確認しておきたかったんだ。
無理に言わせてしまって済まない」
ケイト「両目を瞑って首を横に振る)ううん。
お陰で…ここにどれだけ居たいのか、よくわかった気がする。
ありがとう、フィン^^//」
フィン「…//
いや…そう言ってもらえるなら、何よりだ^^//
こちらこそありがとう」
僕はそう言いながら、泣きそうに目を潤ませたケイトを抱き締めた。
ケイトはそれを振り払おうともせず、抱き返してくれた。
抱き返したかったと、あの時に言っていた(144,145ページ参照)。
その夢をここで叶えようとしているように、僕は感じていた。
失ったものは返ってはこない。
それでも…独りじゃないと、もう大丈夫だと僕は示してやりたかったのかもしれない。
誰よりも小心者でありながら、誰にも負けない想いを貫かんとする『勇気』を持った彼女を――
「死ぬことが夢だった」なんて…二度と、言わせないくらいに……←247ページ参照