第10章 準備と発明
階層主に対し、たった一人で挑む光景を見た瞬間
全体の指揮を執るべき立場に居ながら我を忘れて、動けなくなった。
全身に衝撃が走り、高揚した。
剣だけでなく石まで投げ付けられながら、侮蔑の表情を向けられる彼女に見ていられなくなった。
それでもなお、君は直向きに護ろうとした。
痛めつけられていてもなお、「痛いのは誰だって嫌でしょ?」という言葉と共に、仕返しもしない。
その言葉に…行動に…僕は魅せられた。
僕には決して真似できない行為。堂々と貫く勇気。
その全てにその時点から惚れていたのか、心配で仕方なくて、何かと助言を多くしていた。
純粋さに助けられた。救われていた。オアシスだとも思っていた。
好きで堪らなくなっていて、一緒に居るだけで和んだ(114~117ページ参照)。
気付けば…たくさんの感情が、僕の中で生まれていた。
『恋』という感情の芽生え、人生で初めての…想い。
街の人とホームで遭遇してから泣き止んだ後に
いじめや集団による一方的な理不尽は『一種の洗脳』だと、自分の価値観や考え・見方を伝えた。
それでも彼女のコンパスは、どんな相手でも結局は傷付けまいとするだろう。護ろうとするだろう。
その本質を理解しているからこそなのかもしれない。これほどに強く、恋焦がれた理由は。
ケイト「ティオネとティオナ、アイズとレフィーヤ、私か…」
フィン「ティオネ、ティオナ、アイズの三人はLv.6だから大丈夫だと思ってね。
今回の遠征の目的はもう一つの入り口を見つけることだ。
51階層の強竜を倒した後、アミッドの所から依頼を受けたものでそれも終えてからになる」
ケイト「なるほど。
あれ?でも遠征の帰り祝いで打ち上げしたんだよね?
ベートが「ただでさえ遠征も終えて宴も昨日終わったばかりだっつぅのに」って悪態ついてたじゃない」←20ページ参照
フィン「正確には旅行の帰りだったんだよ^^;
それがどうにも遠征とも言えるような内容になっちゃってね…
ロキが無事に帰ってきた祝いにって、結局宴をしたんだ。
君の街のは緊急だったから、もう一つの迷宮への入り口を探す遠征が後回しになった」
ケイト「…ごめんなさい;」しゅんっ
フィン「そんなに気にしなくても大丈夫だ。
依頼主の神ヘルメスからも急かされてはいないからね」