第64章 新たな指摘
アスフィ「それが一番だと思いますよ
苦しめる目的での発言なら、もっとひどい言葉を使いますし。
地獄落ちを避けて欲しい目的だったから、事実のみを抜粋しただけでしょう?」
ケイト「ああ。
いくら自分から見ていい人でも、いい点数を貰えるとは限らないってこと。
人の命を奪っておいて責められる謂れはないっていうことは、復讐されるのはおかしいと言っているも同義。
でも大事な人を殺されておいて、復讐しない人なんていない。
その感性に関しても咎められる部分はあるんだよ。
さしずめ…採点者は神様かな?
初めて殺しをすれば、誰でも病むし、殺した相手が殺された記憶を有した上で目の前に現れれば、パニックになるのが通常の反応。
彼が実際に取った言動は、それらとは全く違うし、悪びれていないのが現実なんだ。
それが減点対象になっていて、地獄落ちの決定的な要因となってしまっているんだよ。
それを伝えたい。その理由は…地獄落ちになる姿を見たくないから。
彼のことを好きでいても、私のことを毛嫌いしてくれても構わない。
けど、知らず知らずの内にやってしまって、地獄落ちになる人を、黙って見ていられない。そういう性格なんだ、私が。
何もしないまま見過ごすのは、しょうにあわない。
あの世に帰る、すなわち死んだ後にあたっての注意喚起なんだ。
死んでからでは、この世での行動は変えられないから。
あくまで忠告、注意喚起といった形で伝えているだけ。
そこだけ、留意して欲しい。
それさえ守ってくれれば、いくら憎んでくれても、私を殺してくれても構わない(真剣)
保身を選んだ結果、地獄落ちになる人が増えるのが我慢ならないだけだ(真剣&遠くを睨視)
彼はどうあっても救えなかった。
その理由も今ではわかる。
『負の連鎖を未然に防ぐ為の法律』を自ら破り、それに責められる謂れがないとする行為こそ、負の連鎖の主な要因だから。
そこに世界を救う為だとか、生きる為に仕方ないだとか、そういう葛藤や苦悩、後悔があれば…まだ情状酌量の余地は発生するのだが、ないのが現状。
加えて『責められる謂れは無い』という姿勢を、殺した時から時間を置いた後も続けてしまっている。
そのこともまた…地獄落ちの要因の一つだ」
アスフィ「なるほど。
法律の真の意味ですか…考えたことがありませんでしたね」