第64章 新たな指摘
その笑顔を受けて、ある図式が頭の中で瞬時に構築された。
テロップ『何にも言わないから好きに言われたい放題
↓
打ち明けても嘘つき呼ばわりされ続けることから、本人は何も言わなくなる
それに伴い、周囲が広める噂の内容はいくらでも真相を偽装し放題
↓
結果、悪い噂だけが意図的かつ人為的に蔓延るように』
見る気がない、歩み寄る気もない、そんな輩が知った風に語り、噂を振り撒く。
それらにより、ケイトは…ケイトに至ってしまったのだと。
フィン「一時のみ、苦しい思いを味合わせたこと。
された後も常に昔一度されたことをずっとされたと、今もやってる体を装い噂をばらまき続け、ありもしないそれまで交えながら、苦しみを味わい続けることを知りながら、そうなるよう画策し、実行に移し続けること。
どちらが罪深いかと言われれば圧倒的に後者だ。
苦しみを与える期間からして大きく違う、密度も頻度も濃さも、何もかもが。
よって、噂を悪意を持って…不幸に陥ることを願いながら振りまいた輩、君を今も苦しめようとし続けている輩が地獄落ちになるのは道理だ。
だから気にせず…自分を大事に。
色んな人がいるから気にしないように。
言う人は言うんだ。人の口に戸は立てられぬと言うだろう?」
ケイト「うん…」
フィン「君は優し過ぎる…
言う人全てに合わせようとまでする、どんな人であっても…
たとえ……自分を殺す道であったとしても…迷いなく…その道を自ら進んでいってしまう……
それを自分にも向けて、自信を持って挑んで欲しい」
ケイト「…わかった。
憎しみ以外何もない。
そう言い切れるぐらい恨んでも、憎んでも…当時に欲しかったものを後になってから得ても…意味ないんだ。
皆、誰もが…そうなのかな。
恨んで、憎んで、でも他の人から見れば好きで…
皆殺せたら楽なんどけど…でもそうしたらバランスが崩れる……
循環しているのかな……
私達も…役割も……
皆…何かの…それぞれの意味があるのかなあ……」うとうと
寝ぼけ眼でうとうとと舟を漕ぎながら、ケイトは呟いていた。
それは、大事な悟り…のように感じた。
自身から見たそれに執着するのではなく
俯瞰的に見つめている。
されたことへの怨みしかなくとも
それらは循環している、誰しもに訪れている、と大きな視野でとらえている。