第64章 新たな指摘
ケイト「全てが、私を傷付けた。傷しか何も感じなかった。
だが…打ち明けた時に、こう返してくれた。
「それごと愛そう」
そう、自然のことのように言ってくれる…言ってのけてくれる存在に出会って…
それが、王族だからという色眼鏡の無いものだと知って、より一層顕著となった。
それまで…王族だからと、周囲の大人は全てが下手に出てきた。
全て思い通りにさせておいて、親はいつもいつもおらず放任するばかりだった。
真の愛情を、理解できたのは…与えてくれたのは……皮肉にも、それまで縁もゆかりもないはずの聖職者だった。
それからは…当然のようにセレネの手伝いをしてた。
生かしてくれたから、置いてくれたから…死にたいと言い出さなくなった。
言うとしても…たまに愚痴る程度に留まり、行動に示しはしなくなっていた。
それから…成人してから、事態は大きく動いた。
危篤状態へ陥ったんだ。野生の暴れ牛に襲われそうになった子を庇って…
私が辿り着いた時には…もう虫の息で、息絶え絶えだった。
何故か…私を呼んで、最期に話がしたいと伝言を聞いた。
それを聞いた私は…畑など置いて飛び出していった。
聖堂の皆の食事の支えというのに…居ても立っても居られなかった。
聖堂の中へ駆け込み、居場所を問い質し…辿り着いた先に居たのは…
地面の上に敷かれた毛皮の上に寝かされたお父さんだった。血みどろで、泥だらけで…
その傍らに座った。
正座で、膝を立てて、お父さんから見て右側に…
そして来たことを伝えると…開口一番に言われた。
セレネ「君ならできる…
私のあとを、継いでくれるね?」微笑
ヘレイオス「無理だよ…っ
私は!あなたのように優しくなんかはない!!とてもあなたのようには!!!」
セレネ「出来るさ…
重荷を背負わせるのは嫌だが、それでも託したい。
私の、息子なのだから」
ヘレイオス「!!(瞠目)
(わなわな)
っ(涙)←つー、と涙が零れ落ちていく
…ぅさん」ひっく←嗚咽
セレネ「…?」
ヘレイオス「お父さん…っ!死なないでくれ!!」わなわな
セレネ「…^^
それは無理だ。
だが…いつまでも見守っている。
それだけは…約束しよう。
最愛の息子よ」
ヘレイオス「!!」涙
セレネ「私の…自慢の、たった一人の息子だ^^」←震える右手を伸ばし左頬を撫でる